いまなお拡がり続けている…切り捨てられた被害者たちに15年密着した渾身のドキュメンタリー

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水俣曼荼羅
(C)疾走プロダクション

衝撃ふたたび。未だに続く水俣大公害の実態をすべて暴く

ドキュメンタリー映画の鬼才・原一男の最新作『水俣曼荼羅』が完成、今秋公開されることがわかった。あわせて特報も公開された。

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公開された特報動画は、まず歴代の原一男作品を紹介。

脳性麻痺(CP)者の急進的な団体・青い芝の人々の生活と思想をカメラに収めた処女作『さようならCP』(72年)にはじまり、共に暮らした女を追って沖縄に行き自力出産するまでを撮影しそのまま映画化した『極私的エロス・恋歌1974』(74年)、そして“神軍平等兵”を名乗る奥崎謙三が太平洋戦争の元兵士の元を回り責任を糾弾する衝撃作『ゆきゆきて、神軍』(87年)や、40年にわたり小説と格闘した作家・井上光晴を捉えた『全身小説家』(94年)、かつて「石綿村」と呼ばれた大阪・泉南地域の石綿工場の元労働者とその家族を追った『ニッポン国 VS 泉南石綿村』(17年)、れいわ新撰組に迫った『れいわ一揆』(19年)と並ぶ。

続いて、今回のテーマである「水俣病」禍が未だに続いていることを紹介。映画の構成が3部作であることが明かされ、内容が紹介される。

第一部「病像論を糾す」では“脳の中枢神経説”、“患者切り捨て”のテロップが表示され、メチル水銀を口から摂取することで中枢神経に中毒を引き起こすという水俣病発症の仕組みや、被害者への補償が不十分であるといった問題意識が明らかにされる。

第二部「時の堆積」では、“メチル水銀は拡がり続けている”とのテロップが表示され、メチル水銀は未だに海を拡がり魚介類に蓄積されていることを匂わせる。

第三部「悶え神」では、悲嘆に暮れる被害者や激高する弁護士の姿が映し出され、水俣病に見られる症状があるかどうかを判断基準にした旧来の「病像論」(いわゆる52年基準)では被害者の救済が図れなかった水俣病裁判の実態が映し出される。

撮影15年、編集5年、上映時間6時間越え!

本作品は、1956年の公式認識から今年で65年となる日本四大公害のひとつ、水俣病をテーマに取り上げたドキュメンタリー映画だ。

被害者への補償を巡り未だに続く裁判に臨む患者たちの戦いや日常、水俣病に関する学術研究までも網羅。撮影は15年にもわたり、編集にも5年を要した。

上映時間369分という6時間越えの大作ながら、世界中の映画祭から上映のオファーが相次ぎ、ロッテルダム国際映画祭、ニューヨーク近代美術館(MoMA)、シェフィールドド国際ドキュメンタリー映画祭、上海国際映画祭、香港国際映画祭、釜山国際映画祭、東京フィルメックスなどでも話題となっている。

『水俣曼荼羅』は今秋公開される。