「弟があたしのパンツを盗んだ!?」という思わせぶりなキャッチコピーが、イケない想像をかき立てる映画『お姉ちゃん、弟といく』(6月19日より公開)。東京の郊外で女友だちと部屋をシェアして暮らしている主人公・森下なお(25歳)の家に、田舎の実家を飛び出した弟が転がり込むことから話が展開。真夜中、こっそりと姉のパンツに顔をうずめて恍惚とする弟と、そんな弟を偶然目撃してしまい、なぜか興奮、体がうずいてしまう姉のアブない関係を描いた作品だ。
監督は、「寸止めエッチ」の名手・吉田浩太。妄想が炸裂するこの作品について、吉田監督に話を聞いた。
──お姉ちゃんがノーパンでボウリングして弟を惑わせるシーンなど、妄想をかき立てるシーンが満載ですが、この映画を撮ろうと思ったきっかけは?
監督:助監督時代に道を歩いていて、ヒラヒラとしたミニスカートで歩いていた若い女性を見て、「彼女がノーパンだったらいいな」と思ったことがあったんです。そして、ノーパンでボーリングしたら、さぞかしハラハラするだろうと。それが、この作品につながりました。
「ノーパンでボウリング」というアイデアを脚本に落とし込むときに心がけたのが、エロスとスリルでした。そこから姉弟の物語を構築し、行き着いたのは「関係性の崩壊と再生」というテーマでした。
──本作は監督の長編処女作で、2008年ゆうばり国際ファンタスティック映画祭オフシアター部門で審査員特別賞を受賞しました。その授賞式直前に若年性脳梗塞で倒れたとうかがいましたが……。
監督:「よし、これから!」というときだったので、正直、こたえました。何とか早く社会復帰したいと思いつつも、今までに体験したことのない症状に苛まされ「今後は映画は無理だろう」と落ち込む毎日でした。
脳梗塞だけでも辛いのに、さらに脳動脈瘤が発見され、まさに泣きっ面に蜂の状態。動脈瘤の大手術をしたのですが、(復帰に向けて)一番苦労したのが、他人とのコミュニケーションでした。約1年間、自宅にこもっていたので、コミュニケーションがとれなくなって、他人が怖いと思うことすらありました。そんななかで、映画作りはもう無理だと思う一方、映画を作りたい!という気持ちが純化されていった。その純粋な気持ちだけが、復帰までの僕を支えてくれたと思います。
──闘病を通じて変化したことはありますか?
監督:今までは「監督になりたい」という気持ちが少なからずありました。でも今は「映画を作りたい」という気持ちしかない。監督なんてものは肩書きに過ぎなくて、飾りでしかない。闘病を経て、そういった飾りが無意味なものだと気づきました。
──最後に、読者の方々にメッセージをお願いします。
監督:この4年間はいろいろなことがあり、『お姉ちゃん、弟といく』をより多くの方々に見てもらうために劇場公開することを夢見続け、悶々としてきました。
僕は、映画は映画館で見てもらって初めて完成すると思っています。そう考えると、この作品は4年間未完成のままでしたが、今回、皆さんの力で、この映画を完成させてほしいと思っています。
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