白銀のアンデスの下、祖国で起こった“血の闘争”！ 希望と願い込めたドキュメンタリー
#カンヌ国際映画祭#チリ#ドキュメンタリー#パトリシオ・グスマン#南米#夢のアンデス#大島依提亜#クーデター#軍事政権#集団虐殺
白銀のアンデスの下、祖国で起こった“血の闘争”
2019年カンヌ国際映画祭で賞賛され、最優秀ドキュメンタリー賞とインディペンデント批評家賞をW受賞した『夢のアンデス』が10月9日に公開されることが決定。ポスタービジュアルが公開された。
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公開されたポスターは、数多くの映画ポスターを手掛けるデザイナー・大島依提亜の手によるもの。
壮大な山々の稜線をバックに、捕らえられ、連行される人々がちりばめられ、それを静かにカメラに収めるグスマン監督が配置されている。
また、チリの国旗が透けて見えるカラーリングも印象的だ。チリの国旗は、赤が独立で流した血を、白はアンデスの雪を、青は海と空を、星は国の統一への願いを表しているとされる。
南米ドキュメンタリーの巨匠・パトリシオ・グスマン監督が愛した作家や彫刻家、音楽家たちの告白と記憶。そして、それを見守るように鎮座するアンデスの山々が対比され、壮大な歴史を紡ぐ一大絵巻への期待が高まるビジュアルとなっている。
冷戦後の新自由主義に翻弄されたチリへの哀愁
1818年に世界で初めて選挙によって選出されたサルバドール・アジェンデ大統領による社会主義政権は、1973年9月11日、CIAの支援を受けたアウグスト・ピノチェト将軍の指揮する軍事クーデターで倒壊。左派は根こそぎ投獄され、3000人を超える市民が虐殺された。
本作品は、グスマン監督が40年以上にわたり描いてきたチリ弾圧の歴史の集大成だ。
『光のノスタルジア』（10年）、『真珠のボタン』（15年）に続く一大叙事詩最終章となる本作品は、『チリの闘い』（1975〜1978年）で映像に残したアジェンデ時代の歴史と、ピノチェト軍事クーデター後に新自由主義の実験場となってしまった祖国の現状を、アンデスのように俯瞰した視座から改めて見つめ直している。
1973年にチリで起こった軍事クーデターは、多くの市民の人生を大きく変えた。 グスマン監督もドキュメンタリー映画『チリの闘い』撮影後、政治犯として連行された。釈放されると、フィルムを守るためパリに亡命、遂に本作の完成にこぎ着けた。
『夢のアンデス』は、10月9日に公開される。
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