マンガ家・水木しげるの夫人である武良布枝(ぬのえ)の自伝エッセイ『ゲゲゲの女房』。NHK朝の連続テレビ小説の原作でもあるこの作品を映像化した同名映画が、ぴあフィルムフェスティバルでプレミア上映され、キャストの吹石一恵と宮藤官九郎、鈴木卓爾(たくじ)監督が舞台挨拶を行った。
鈴木監督は「ずっとやりたかった“男と女”と“妖怪”を一緒に(映画に)できるというのでは──という予感の下に、2年かかったのですが、ようやく完成しました」と挨拶。
吹石と宮藤は、お見合いからわずか5日で結婚した貧乏夫婦を好演。共演について吹石が「慣れすぎないというか、できるだけ初めて会った感じが出るよう、撮影前は必要以上に宮藤さんに会いすぎないようにした」と明かすと、この話を初めて聞いたという宮藤は、「(リハーサルなどで)結構、会ったつもりでいたんですけど」と、ちょっと寂しそうだった。
水木しげる夫妻も映画を気に入っているようで、吹石は「(試写を)見終わった後に、布枝さんが目をウルウルさせながら、両手で私の手を握り『ありがとうございました。いろんなことを思い出しました』と小さい声で話してくれた」と嬉しそうに教えてくれた。だが、このエピソードも宮藤は知らなかったそうで「それも初めて聞いたんですけど……」と、さらなる新事実発覚にショックを受けた様子だった。
一方、水木しげるに会った宮藤は、「88歳なのにすごく達者で」と言ってから、「『映画ってのは儲からないだろう』と何度も言っていました」と苦笑い。そして、「お金にシビアなところを、それとなく滲ませさせていただきました」と、役作りの参考にしたと語っていた。
また宮藤は、水木の娘から「お父さんは肩に力の入っていない人」と聞き、「ああ、力を抜けばいいのかと、演技がラクになった」とも話していた。
吹石も役作りについてコメント。今の自分とはかけ離れた設定だったため役作りには苦労したようだが、「結局は現場に入って、監督の演出や宮藤さんの演技のおかげで、布枝さんになれた」と、2人への感謝を語った。
『ゲゲゲの女房』は11月にヒューマントラストシネマ有楽町ほかにて全国公開される。
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