第二次世界大戦下の日本の農村を舞台に、戦争で四肢を失った帰還兵とその妻の姿を通じ、戦争の恐ろしさを描いた映画『キャタピラー CATERPILLAR』。その公開初日の8月14日にテアトル新宿で舞台挨拶が行われ、若松孝二監督、寺島しのぶ、大西信満、ゲージツ家のクマさんこと篠原勝之、粕谷佳五、増田恵美が登壇した。
[動画]『キャタピラー』初日舞台挨拶/若松監督、寺島しのぶ他
[動画]『キャタピラー』初日舞台挨拶 囲み取材
当初からこの映画を、ポツダム宣言受諾を決定した8月14日に公開すると決意していたという若松監督は、「これを見て、戦争というのはこういうもんだと思ってもらえたら、作ったかいがあります」と挨拶。さらに、「戦争とはただの人殺しで、会ったこともない人たちを殺し、自分も死ぬかもしれないということを若い人に知ってもらいたい。戦争のない社会にしてもらいたい」と客席に熱く語りかけていた。
また、本作で第60回ベルリン国際映画祭の最優秀女優賞を受賞した寺島が、感極まったのか涙声で、去年の4月から撮影をはじめた本作をようやく披露できた喜びを語ると、満場の客席から大きな拍手が沸き起こった。
その後、ロビーで若松監督、寺島、大西の囲み取材が行われた。
まず、舞台挨拶で涙を浮かべていたことについて聞かれた寺島は、「映画はお客様に見ていただいて初めて成立するもの。こんなに多くの方々が公開を待っていてくださったのかと思うと、胸が熱くなっちゃって」と照れくさそうな笑みを浮かべ、「感無量でした」と語っていた。
そんな寺島に主演を依頼した理由について聞かれた若松監督は、「いろいろ考えたんですけど、どうしても寺島さんしか思い浮かばなかった。でも、僕の映画なんかに出てくれるわけがない、と思ったが、まぁ一か八か当たって砕けろと、台本を読んでもらった」と語り、「出てもらえることになったときは、『これで勝ったな』と思った」とニヤリと笑っていた。
一方、寺島はオファーされたときの気持ちを聞かれ、「台本を読んだときに、これは絶対にやらせていただきたいと思った」と回答。精神的にも肉体的にも困難な役どころだが、撮影中はさほど辛さは感じなかったと言いつつも、「終わった後にバッタリ寝込んで、2、3日布団から出られなかった」と、全精力を注ぎ込んだ作品であることを示唆。また寺島は、そんな本作についてレポーターから「夫のローラン・グナシア氏は何と言っていますか?」と聞かれると、「私のベストパフォーマンスだと言ってくれました」と顔をほころばせ、「ベルリン映画祭で受賞するなんて本当にすごいこと。そういう奥さんをもって幸せだと言ってくれました」とも話していた。
また「次回作でも寺島さんを起用するか」と聞かれた若松監督は「詳しくは言えませんが、お願いに行こうとは思っています」とラブコール。寺島も「もちろん、もちろん、もちろん」と“もちろん”を3回も繰り返し「通行人でも何にでもなります」とニッコリ。さらに寺島が「監督は次の次も考えていると思う、それくらいエネルギーに満ちあふれている」と続けると、若松監督は「もう74(歳)ですよ」と苦笑い。それを聞いた寺島は、「死ぬまでついて行こうと思います」と語っていた。
最後の挨拶では、「絶対に後悔はさせない映画にしようと頑張った」とアピールした寺島。続けて、「そんなに長い映画ではないし、値段も監督のご厚意で、普通は大人1800円のところが1300円に。中高生が500円で……」と言いかけると、横から若松監督が「今、若い人が映画を見なくなっているので、中学、高校生はタダで見せてやってくれと言ったら、劇場が『それじゃあ経営が成り立たない』というので(笑)、ワンコインで見てもらうことに」と説明。寺島が「なので、本当に見ていただきたい、それだけです」と締めくくった。
『キャタピラー CATERPILLAR』はテアトル新宿ほかにて全国順次公開中。
【関連記事】
・「脱がせるな」の要求無視して強行突破!/若松孝二監督インタビュー
・「米軍基地は東京湾に!」衝撃作『キャタピラー』若松監督が政治家を斬る!
・『キャタピラー』若松監督、800万円のCG見積もりをカット数を減らして30万円に!
・[動画]若松監督インタビュー1/戦争について語る
・[動画]若松監督インタビュー2/寺島しのぶについて語る
・[動画]若松監督インタビュー3/監督の素顔を助監督が暴露!?
・『キャタピラー CATERPILLAR』作品紹介
・[動画]『キャタピラー CATERPILLAR』予告編
PICKUP
MOVIE
INTERVIEW
PRESENT
-
『型破りな教室』一般試写会に10組20名様をご招待!
応募締め切り: 2024.11.29 -
山口馬木也のサイン入りチェキを1名様にプレゼント!/『侍タイムスリッパー』
応募締め切り: 2024.11.15