罪状不明のまま米政府に収監された筆者への拷問と虐待の日々…この手記は何を語るのか

今年2月にハリウッドで限定公開され、第78回ゴールデングローブ賞にて俳優部門2部門のノミネートを果たした話題作『THE MAURITANIAN(原題)』が、『モーリタニアン 黒塗りの記録』という邦題で、10月29日より全国で公開されることが決定し、あわせてポスタービジュアルと場面写真が公開された。

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2015年、アメリカ政府による検閲で多くが黒く塗りつぶされた手記が出版された。筆者のモハメドゥ・スラヒはその時、キューバのグアンタナモ収容所に収容されていた。異例尽くしのこの本は、またたく間にアメリカで大ベストセラーに。その後、世界20か国で刊行され、映画化された。出演はジョディ・フォスター、タハール・ラヒム、そしてプロデューサーとしても名を連ねるベネディクト・カンバーバッチ。

05年、弁護士のナンシー・ホランダー(ジョディ・フォスター)はアフリカ・モーリタニア出身のモハメドゥ・スラヒ(タハール・ラヒム)の弁護を引き受ける。9.11同時多発テロの首謀者の1人として拘束されたが、裁判は一度も開かれず、収容所で地獄のような投獄生活を何年も送っていた人物だ。

ナンシーは「不当な拘禁」だとして国を訴える。

時を同じくして、テロへの“正義の鉄槌”を望む政府から米軍に、モハメドゥを死刑判決に処せとの命が下り、スチュアート中佐(ベネディクト・カンバーバッチ)が起訴を担当する。

真相を明らかにして闘うべく、両サイドから綿密な調査が始まる。

モハメドゥから届く手紙による“証言”の予測不能な展開に引き込まれていくナンシー。ところが、再三の開示請求でようやく政府から届いた機密書類には、愕然とする供述が記されていた……。

モハメドゥ・スラヒ(タハール・ラヒム)と接見する弁護士のナンシー・ホランダー(ジョディ・フォスター)
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フォスター×カンバーバッチ×ラヒムが最高の演技対決!

同作の監督は、ドキュメンタリーに定評があり『ブラック・セプテンバー/五輪テロの真実』でアカデミー賞長編ドキュメンタリー賞受賞のケヴィン・マクドナルドが務める。

この著書を読んで惚れ込んだカンバーバッチが、「これは映画化すべきだ。誰が映画化権を持っているのか調べなきゃいけない」と動いた。また、実在の弁護士を演じたフォスターは、著書のことも彼の物語のこともオファーを受ける以前から知っており、グアンタナモ基地や、当時そこで起きたことについて多くの疑問を抱いていたという。

「私が生きている時代のことなのに、なぜかそうした疑問に対する答えを私は一切知らなかった。まったく何も知らないということに我ながら驚いた。私たちの誰もが9.11の出来事にものすごい衝撃を受けたために、アメリカ中が恐怖心であふれていた。そのせいで、誰が抑留されているのかについては、ほとんど考えていなかったのだと思う」と語る。

モハメドゥ本人を演じたラヒムは「初めて脚本を読んだときには泣いたよ。素晴らしいストーリーだった。彼はヒーローだ。1人の俳優として、そして1人の人間として、僕は、このストーリーは語られるべきだと思った」と語る。それぞれ実力派の俳優陣の演技対決で現代に問う、アメリカの闇を暴く実話だ。

同作で第78回ゴールデングローブ賞で助演女優賞を受賞したジョディ・フォスター、主演男優賞でノミネートされたタハール・ラヒム、そして制作に名を連ねるベネディクト・カンバーバッチに加え、海外ドラマ『ビッグ・リトル・ライズ』や映画『ダイバージェント』シリーズ、『きっと、星のせいじゃない。』シャイリーン・ウッドリーら、実力派の俳優陣の演技にも注目だ。世界同時多発テロから20年。タブー視された“アメリカの闇”が今、明かされる……。

『モーリタニアン 黒塗りの記録』は10月29日より、全国で公開される。