野田洋次郎「ぬるいことは言っていられない」俳優業に対する思いの変化語る

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『キネマの神様』野田洋次
野田洋次郎

大体僕は作品に入ると音楽にしたくなる

松竹映画100周年を記念して、人気作家・原田マハの同名小説を名匠・山田洋次監督が映画化した『キネマの神様』が8月6日より公開中。ムビコレでは出演する野田洋次郎のインタビューを掲載中だ。

「最後の1秒まで考え尽くし全てを出し尽くす」意味/『キネマの神様』野田洋次郎インタビュー

本作は、妻や娘からも見放されたギャンブル狂いのゴウ(沢田研二)が、孫の勧めでかつて青春時代にとん挫した映画の脚本を書き直し、脚本賞に応募しようとすることから、止まっていた人生が再び動き出す様を描いた人間ドラマ。若き日のゴウを菅田将暉が、ゴウの盟友・テラシンを野田が演じている。

人気ロックバンド「RADWIMPS」でボーカルを務める一方、俳優として映画やドラマで印象的な役柄を演じてきた野田。映画愛に溢れた本作で山田組に初参加となった。「僕自身は自分のことを役者だとは思っていませんでしたが、山田組に参加してそんなぬるいことは言っていられないというか、参加したからにはやはり役者であるべきだと思いました。あの現場を経験して初めて自分も役者と言っていいのかなという気になれたくらい大きな出来事でした。山田監督を見ていたらものづくりにおいて妥協なんかしたらいけないんだ、最後の最後の一秒まで考え尽くして自分の持てる全てを出し尽くすんだ、という。言葉にすると簡単そうなことですけど、そういうことを本当に気づかされました」

「謙遜というか、役者ではない僕にオファーをしてくれたのだから役者である必要はない、みたいなひねくれた思いがどこかでありました。僕が僕でいればいいのかなと。でも、山田組はそれが許されるわけもなく、その場で4つも5つも6つも7つも8つも同時に色んな演出をされて、『ここでこう動いてここでこう飲んで、ここできっと彼はこんな風な表情をして、瞬きを2~3回して』とか。煙が頭から出そうな瞬間もありましたけど、それをやっていくにつれて演じることの面白さみたいなものを教わった気がしました」

演技をするなかで多くの気づきを得て、それが音楽活動にもいい影響を与えていると語る野田。「大体僕は作品に入ると音楽にしたくなるんです」と言うとおり、本作の主題歌「うたかた歌」の作詞作曲も手がけている。「監督に感謝の気持ちを伝えられたらいいなとの思いもありましたし、撮影が終わってしばらくして志村(けん)さんのこともあったので、この映画もそうですけど現実とどこが境界なのか分からなくなるような不思議な時間を音楽にしようというか、残したいと思って最初作りました。そこから主題歌への話や、菅田君と一緒に歌ってみてはと提案されてできた曲です」

盟友同士を演じた菅田の歌については「もうあの曲はやはり、テラシンとゴウでしか完成しない曲だったと思います。この映画の中で生きたあの2人が、一つの楽曲の中に存在することに大きな意味というか価値があると思いましたし、彼の持ってる説得力みたいなものが声でも変わらず存在するし、すごい稀有な存在だと思います」とコメントしている。

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