NHK朝の連続テレビ小説としてドラマ化もされた「ゲゲゲの女房」。マンガ家・水木しげるの妻・武良布枝が自らの半生を綴ったこのエッセイが、今度は映画化された。映画版『ゲゲゲの女房』で夫婦役を演じたのは吹石一恵と宮藤官九郎。10月14日に調布市グリーンホールでそのプレミア試写会が行われ、吹石と宮藤、そして鈴木卓爾監督が舞台挨拶に登壇した。
調布は水木・武良夫妻のゆかりの地。吹石は「調布でも撮影していたので、戻ってくることができて嬉しく思っています」と挨拶した。
原作は面白くて一気に読んでしまったという吹石だが、当初は「布枝さんはあまり多くを語らず男性について行くという大和撫子だったので、私とはあまり似てないなと、正直心配でした」と出演に不安を抱えていたことを告白。だが、監督から、映画化を考えたときに最初に思い浮かんだのが吹石だったと聞かされ、「監督の言葉を信じてみたいと思った」と、出演の経緯について明かした。
それを聞いていた宮藤は「僕は思い浮かばなかったんですよね?」と鈴木監督に確認。観客の爆笑のなか、監督は「すみません」と恐縮していた。
お見合いをしてから5日後には結婚生活が始まっていた夫婦を演じた感想については、「現代の自分に置き換えるとリアリティがわかない」と語った吹石。だが、昭和30年代に自分が生きていたらと考えたところ、「私も(布枝と同様)背が大きいし、嫁き遅れていたかもしれない」と思ったそうで、共感できたのだという。
一方、「意外と(水木しげるに)似ている」と劇中の自分について語ったのは宮藤。鈴木監督も、「しげるさんが憑依している風にしか見えなかった」と絶賛していた。
また、映画のプロモーションでテレビ番組に出演したときに“妖怪占い”をされたときの話も披露した吹石と宮藤。その結果によると、宮藤は“こなきじじい”で吹石が“死に神”だったそうで、2人の相性は30%しかなかったと苦笑いしていた。
映画については「NHKの朝ドラでは、2人が貧乏を通過して成功していく姿が描かれているのですが、この映画は貧乏に焦点を当てている(笑)」と、ドラマとの違いを強調した宮藤。さらに「貧乏に関してごまかしがない」と続けて客席の笑いを誘い、「(貧乏に)劣等感を持たずに明るく生きている2人が描かれている」と見どころについて語っていた。
『ゲゲゲの女房』は11月20日よりヒューマントラストシネマ有楽町ほかにて全国公開される。
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