村上春樹の小説を、『青いパパイヤの香り』のトラン・アン・ユンが監督、松山ケンイチと菊地凛子の共演で映画化した『ノルウェイの森』のジャパンプレミアが、祝日である11月23日に早稲田大学で行われた。
大隈講堂前ではレッドカーペットセレモニーも催され、松山、菊地、トラン監督のほか、高良健吾、水原希子、霧島れいか、初音映莉子、玉山鉄二も登場。松山たちはファンからのサインや握手のリクエストに丁寧に応じていた。早稲田大学は村上の出身校でもあり映画の撮影にも使われていて、松山は「授業中に学生活動家が入ってきて授業を止めるシーンの撮影が印象的でした」と振り返った。
その後、大隈講堂に場所を移して上映前の舞台挨拶が行われた。トラン監督は日本での公開を控え「本当にドキドキしています。長い時間をかけた作品なので感慨深いです」とコメント。オール日本人キャストで日本語の作品にした理由について聞かれると「原作の素晴らしさは、日本を舞台にしているから。なので、これは日本人キャストで日本を舞台にしてこそ成り立つ作品だと思っていました。外国人キャストで映画化することは考えていませんでした」と語った。
続いて司会から、オーディションや撮影中、今までを通して一番テンションが上がった瞬間について聞かれたキャストたち。松山は「(撮影の)中盤で、直子(菊地)と一緒のとても重要なシーンを撮ったのですが、その日は2テイク撮って終わり、2日目に3テイク目でOKが出たときは本当にテンションが上がり、思わず凛子さんをハグしました(笑)」と回答。また、「出演が決まったときはすぐにプールに行きました。(主人公の)ワタナベは水泳をしますが、僕は泳げなかったので」とも語り、司会が劇中の泳ぎを褒めると「訓練のたまものです」と満足そうな笑顔を浮かべていた。
一方、菊地は最初はオーディションに呼ばれなかったと明かし、「受けさせてもらいたいと言ったら、監督から『凛子にはあまり興味がない』と言われてしまった」と苦笑い。けれどあきらめずに食い下がってオーディションを受けさせてもらったという。その後、ホテルのロビーで面談することになったが、「いつ頃この作品を読んだのか」というような質問ばかりする監督に菊地は、今日は質問に答えるために来たのではなく役をくれるのかどうかを聞きに来たと詰め寄り、「『直子の役は凛子にあげるよ』と無理矢理言わせた形(笑)」と振り返った。
それを聞いていたトラン監督は笑いをこらえながら、菊地から届いたビデオを見て「直子役は菊地さんだ!」と思ったと告白。ホテルで会ったときはすでにキャスティングを決めていたそうだが、「菊地さんから詰め寄られて、使いますと即答してしまいました(笑)。本当はプロデューサーや菊地さんの事務所に先に返事を伝えるのがスジなのですが、直接、本人にオファーしてしまいました」と話していた。
霧島も、実は菊地と同じような問いを監督にしたと告白。「監督に会ってもらえただけでも嬉しかったのですが、オーディションのときに『私じゃないんですよね』と聞いてしまいました」と霧島。だが、監督から『ここでは答えられない』と言われ、菊地とは違って素直に引き下がったことを明かしていた。
また高良は、他の作品で死ぬシーンを演じクランクアップした翌日に、『ノルウェイの森』でも死ぬシーンを撮ったと話し「そのときはテンション上がりました。違う作品の現場で2日連続で死ぬってあまりないなって(笑)」と、希有(けう)な体験について語った。玉山は撮影中に突然、セリフが大量に増えたこともあったと明かし「本番前にいきなり紙を渡され、これで行こうかと言われて。そのときは、テンション上がるというより、悶絶しそうになりました」と思い出し笑いをしていた。
『ノルウェイの森』は12月11日より全国公開される。
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