ヴェネチア国際映画祭で上映され、6分間にもおよぶスタンディングオベーションで迎えられた園子温監督最新作『冷たい熱帯魚』。この映画が11月27日に東京フィルメックスで上映され、キャストの吹越満、でんでん、黒沢あすか、神楽坂恵、梶原ひかり、渡辺哲と園監督が舞台挨拶に臨んだ。
[動画]『冷たい熱帯魚』 舞台挨拶&囲み取材
園子温監督の最新作がヴェネチア映画祭で拍手喝采!
本作は実際に起こった猟奇殺人事件をベースに、連続殺人事件に否応なしに巻き込まれていく熱帯魚店の経営者とその家族の姿を描いたダークファンタジー。挨拶に立った園監督は「この映画が、今まで作ってきた作品のなかで1番のできになったと思う」と自信をのぞかせた。
吹越は、猟奇映画である本作について「キャスト・スタッフが一丸となって、今日のような天気の良い、銀座の昼下がりに見るにはどうかな? という内容の映画を作りました」と言って観客を笑わせると、園監督は「みんな、恐い恐いと言っていますが、普通に娯楽映画になっていると思う」と返し、笑いを引き出していた。
その後、囲み取材が行われ、ヴェネチア国際映画祭の感想を尋ねる質問が飛びだした。これに、でんでんは「この映画を外国の女性の方が笑っているのを見て、民族性みたいなものを感じた」と答えると、黒沢も「日本人の感覚としては、まさかそんなところで笑うのかというところで笑っていた。それがとても新鮮だった」と口にしていた。
また、撮影中の印象に残るエピソードについて聞かれた吹越は「神楽坂さんとは夫婦役を演じていますが、夫婦に見えるためにはどうしたらいいかと監督に尋ねたら、『とりあえずキスしろ』みたいな演出があった」と振り返り、報道陣を笑わせていた。
キスに関しては、渡辺もエピソードがあったようで、「普段はあまりラブシーンをしたことがないが、(今回は)黒沢さんとキスシーンがあった。それを撮り終わった後に監督からダメ出しがあったが、そのダメが『哲さん、舌が長い』というもので、よく見ると本当に長い」と話し、笑いを誘っていた。
一方、監督から徹底的にしごかれたのが神楽坂。監督から「今までの人生を否定されるくらいに追い込まれた」そうで、「そうやって追い込まれたことで、上手に(自分の力を)引き出してもらえた。辛かったけど嬉しいこと。ありがとうございます」と最後は涙を目に浮かべながら話していた。
梶原も、神楽坂同様、監督からは徹底的にしごかれたようで、「1日目のリハーサルで私はダメダメだったので、監督から『現場に連れて行けない』と言われ、ガーンと落ち込んだ。その日の夜はお風呂でガン泣きして、クソと思って。でも、その言葉がなければ私は変わらなかったので、今ではすごい感謝しています」と、女優として成長するきっかけを作ってくれた監督に感謝の言葉を述べていた。
『冷たい熱帯魚』は2011年1月29日よりテアトル新宿ほかにて全国公開される。
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