世界中でその才能が高く評価されているミヒャエル・ハネケ。悪意、暴力、欺まん、孤独……人間の内側に潜む負の感情を執拗に描き続けてきた巨匠監督だ。12月4日からはカンヌ映画祭の最高賞パルムドールを受賞した『白いリボン』が公開されるが、それを記念して、ハネケ監督の過去作をまとめた映画祭「ミヒャエル・ハネケの軌跡」が開催されることとなった。
偶然知り合った少女を殺害し、その一部始終をビデオに収めた中学生の姿を追った『ベニーズ・ビデオ』(92年)。孤独なピアノ教師のゆがんだ性癖と母親との確執を描いた挑発的な作品『ピアニスト』(01年)。アメリカの観客に暴力の本質を見せるという目的で作られた自作のリメイク『ファニーゲーム U.S.A.』(07年)など、常に物議を醸してきたハネケ監督のショッキングな作品10本が一挙上映される。
さらに、監督に2年半に渡って密着したドキュメンタリー『毎秒[24]の真実』も特別上映される。
『白いリボン』では母国ドイツを舞台に人々の心に潜む悪意をあぶり出し、ナチスの出現を予感させたハネケ監督は、2012年完成予定の次回作では、老いをテーマに「苛立ち」「嘘」について描くとも語っている。
映画祭「ミヒャエル・ハネケの軌跡」は、そんな恐るべき巨匠の作品を一度に鑑賞できる貴重な機会。開催期間は12月4日(土)〜17日(金)で、ヒューマントラストシネマ有楽町にて開催される。
「ミヒャエル・ハネケの軌跡」
ヒューマントラストシネマ有楽町
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