「例外となる者はいない」…容赦ない強制退去がはじまる

平凡なユダヤ人家族・ブラウデ一家の悲劇と運命を描いた衝撃の実話を映画化した『ホロコーストの罪人』が、8月27日より全国で公開される。この度、映画冒頭の映像が公開された。

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4分弱の映像は、まず始めに黒バックに淡々と流れるテロップで物語の背景を説明する。

舞台は、ナチス・ドイツのノルウェー占領から2年。欧州ではユダヤ人の強制退去と根絶に向けた活動が始まった頃だ。

続いて、静寂に包まれた夜明け前のオスロにある秘密国家警察本部が映し出される。

副本部長であるクヌート・ロッドが、1942年11月26日、ユダヤ人強制連行の指揮を取ることになり、警官、ユダヤ人をオスロ港へと運ぶためのタクシー運転手が集められた。

異様な雰囲気の中、クヌートは皆を見渡しながら「諸君、我々は短時間での異例の使命を課せられた。任務は早朝のうちに、迅速かつ協調的に行われなければならない。パニックや不測の事態を避けるためだ」と状況を説明、「秘密国家警察の威信に関わる任務であり、成功は諸君の双肩に懸かっている」と発破をかける。

一呼吸置いて、「ユダヤ人家庭の女性を全員捕まえる。先月は対象外だった男性も今回は全員連行する」と告げたあと、さらに「ユダヤ人の入院患者も対象だ。例外となる者はいない」と言い放つ。すると、立ったまま聞いている警官やタクシー運転手が、たじろいだ表情を浮かべる。

リーダーと同乗者の名前が次々発表されると、無数のタクシーは一斉に各地域に散らばっていく。そして夜明け前、一台のタクシーはブラウデ家の母サラのいる家にも迫っていた……(https://youtu.be/lCVnnjfM9is)。

仲間と思っていた同胞の裏切り…歴史的事実を映画化

本作品は、ホロコーストにノルウェー警察・市民らが加担していたというノルウェー史上最も重い事実を描く。ノルウェー系ユダヤ人たちをベルグ収容所に連行して強制労働を監視し、アウシュヴィッツ行きのドナウ号が待つオスロの港に強制移送したのは同じノルウェー人であり、その結果、ドナウ号に乗船したノルウェー系ユダヤ人の多くがアウシュヴィッツでホロコーストの犠牲となった。この遠い出来事のように思える歴史的悲劇を平凡なブラウデ一家を通して描くことで、今を生きる人々にも身近な恐怖として訴えかける。

出演は、『獣は月夜に夢を見る』のヤーコブ・オフテブロ、『ソフィーの世界』のシルエ・ストルスティン、『ミレニアム』シリーズのミカリス・コウトソグイアナキス。監督は、『HARAJUKU』で国内外の高い評価を得たエイリーク・スヴェンソン

『ホロコーストの罪人』は、8月27日より全国で公開される。