2014年の年間興行成績をまとめたところ、興行ランキング1位は『アナと雪の女王』の255億円。『千と千尋の神隠し』『タイタニック』に次ぐ歴代興行成績3位を記録した。海外で最もヒットしたのが日本で、興収をドル換算(1ドル=115円)すると2億2087万ドル、次が韓国で7670万ドル。米国では4億ドルを稼いでいるが、歴代興収ランキングで見ると19位で、日本では歴代3位。実は日本での人気が突出している。
・本業でも副業でも大成功のハリウッドスター/ママタレ・バトルも勃発!
2位は『永遠の0』で88億円。13年の邦画実写映画ナンバーワンが『真夏の方程式』の33億円だったので、大きく上回った。戦争を題材にした『男たちの大和/YAMATO』(05年、50.9億円)に比べると、年配層以外の女性客や若者客が多いのが特徴。戦争映画だが「仲間や家族への愛」「熱い男たちの友情」を描いている点が若い世代や女性を含めた幅広い層に受けたようだ。
3位は『STAND BY ME ドラえもん』(84億円)。毎年春に公開されており、「どの程度ヒットするか読めない」と語る映画関係者が多かったので、サプライズヒットといえる。ドラえもんとのび太の初めての出会いや、大人になったのび太としずかちゃんのラブストーリー、ドラえもんとのび太の別れなど、知っているようで知らないエピソードで構成した“泣ける”ストーリーが大人の観客を中心に好評だった。宣伝では「いっしょに、ドラ泣きしません?」「すべての子ども経験者のみなさんへ」とコピーでうたい、大人をターゲットにしたのが的中した。
『永遠の0』に続く邦画実写の大ヒットが『るろうに剣心』。『京都大火編』は興収52億円。前作が30.1億円だから1.7倍の伸び。『伝説の最期編』43億円と合わせると95億円にのぼる。13年の『劇場版SPEC〜結』漸ノ篇・爻ノ篇をはじめ、近年は2部作公開が多く、すべて当たっている。観客には、2部作で公開するスケール感やイベント感が鑑賞意欲をそそるようだ。
2部作ではないが、『名探偵コナン』2作も大ヒットした。正月公開の『ルパン三世VS名探偵コナン THE MOVIE』(43億円)は、ルパンとコナンが初めてコラボした09年のテレビスペシャル『ルパン三世VS名探偵コナン』に続く劇場版。2大アニメのヒーローが再びコラボするイベント感が、コナンの中心客層である10代後半から20代に加え、ルパン世代と思われる40〜50代を取り込んで大ヒットにつながった。この勢いが毎年GWに公開される『名探偵コナン 異次元の狙撃手』(41億円)につながって、13年のシリーズ最高を上回る新記録樹立となった。
逆に、興行的に期待外れだったのがスタジオジブリの新作『思い出のマーニー』。トップ10圏外で興収は35億円。監督は『借りぐらしのアリエッティ』の米林宏昌で、『アリエッティ』は興収92.5億円を上げ、その年の邦画ナンバーワンヒット。米林監督の実績とジブリのブランド力から「14年も年間1位の最有力作品」と見る映画関係者は多かった。また「少女2人が友情を育むWヒロインもの」なので、『アナ雪』の追い風に乗るとの見方もあった。11年の『コクリコ坂から』(44.6 億円)もそうだが、家族連れで楽しめるファンタジー映画でないと、ジブリ作品とはいえ観客の関心度が低くなるようだ。
『ポケモン・ザ・ムービーXY/破壊の繭とディアンシー』も伸び悩んだ。今作は11〜13年と続いた『ベストウイッシュ』に代わる、新シリーズの1作目。前シリーズは43.3億円→36.1億円→31.7億円と回を重ねるごとに勢いが鈍ってきたので、新シリーズ一発目で再浮上を図ったが、29億円とさらに下がった。
期待外れといえば『GODZILLA ゴジラ』もそう。98年にハリウッドで映画化された際は、日本のオリジナル版と異なり爬虫類のような体形に変わり、素早い動きもゴジラっぽくなく、不評で動員が伸び悩んだ。それでも配給収入30億円、興収換算で60億円。今作はオリジナル版を踏襲した体形や、渡辺謙が出演する話題性もあったが興収32億円と伸び悩んだ。『マレフィセント』は女性客を中心にファミリー層まで広がって大ヒットしたが、『GODZILLA』は広がらなかった。
『アメイジング・スパイダーマン2』『トランスフォーマー/ロストエイジ』も同じくらいの興行成績。人気シリーズなので知名度は高いが、ファミリー層まで広がらないと洋画アクション映画は興収30億円が壁のようだ。(文:相良智弘/フリーライター)
[2014年 映画興収ランキング]
1位『アナと雪の女王』255億円
2位『永遠の0』88億円
3位『STAND BY ME ドラえもん』84億円
4位『マレフィセント』65億円
5位『るろうに剣心/京都大火編』52億円
6位『テルマエ・ロマエ?』44億円
7位『ルパン三世VS名探偵コナン THE MOVIE』43億円
7位『るろうに剣心/伝説の最期編』43億円
9位『名探偵コナン 異次元の狙撃手』41億円
10位『映画 ドラえもん 新・のび太の大魔境〜ペコと5人の探検隊〜』36億円
11位『思い出のマーニー』35億円
12位『ゼロ・グラビティ』32億円
12位『GODZILLA ゴジラ』32億円
14位『アメイジング・スパイダーマン2』31億円
15位『ポケモン・ザ・ムービーXY「破壊の繭とディアンシー」』29億円
15位『トランスフォーマー/ロストエイジ』29億円
17位『ホットロード』24億円
17位『ルパン三世』24億円
19位『土竜の唄 潜入捜査官REIJI』22億円
20位『相棒-劇場版?-巨大密室!特命係 絶海の孤島へ』21億円
(ムビコレ調べ)
【関連記事】
・2014年ハリウッド10大ニュース(前編)/セクシー画像流出にアイス・バケツ・チャレンジなどがありました
・嫁にメロメロ、浮気再発…恋愛・結婚に見るスターたちの泣き笑い
・『妖怪ウォッチ』2日間で興収16億円と東宝の記録塗り替える大ヒット!
・オバマ大統領、今年のベスト映画は『6才のボクが、大人になるまで。』
PICKUP
MOVIE
INTERVIEW
PRESENT
-
【舞台挨拶あり】齊藤工が企画・プロデュース『大きな家』公開直前舞台挨拶付試写会に15組30名様をご招待!
応募終了: 2024.11.22 -
『型破りな教室』一般試写会に10組20名様をご招待!
応募締め切り: 2024.11.29