1988年10月28日生まれ、埼玉県出身。2011年にTVドラマで女優デビューし、映画は『白ゆき姫殺人事件』(14年)、『グラスホッパー』(15年)、『オオカミ少女と黒王子』『土竜の唄 香港狂騒曲』(共に16年)、『銀魂』(17年)などに出演。近年のドラマ出演は『BG〜身辺警護人〜』(18年、20年)、主演作『Miss デビル 人事の悪魔・椿眞子』(18年)、『4分間のマリーゴールド』(19年)、『常識の仮面はがします 秘密潜入員エース』『七人の秘書』(共に20年)、『TOKYO MER〜走る緊急救命室〜』(21年)、『緊急取調室 新春ドラマスペシャル「特別召集 2022 8億円のお年玉」』(22年)など。近年の映画出演は『マスカレード・ホテル』(19年)、『ヲタクに恋は難しい』(20年)、『地獄の花園』『土竜の唄FINAL』(共に21年)など。2022年10月からドラマ『ザ・トラベルナース』に出演。
ソーシャルメディアの普及により、情報伝達の速度や広がりは格段に進歩したが、一方で何が真実で何が嘘なのかがより不透明になるという弊害も生まれた。そんな現代社会の闇を描いた湊かなえ原作の重層的なサスペンスを、『アヒルと鴨のコインロッカー』(06年)の中村義洋監督で映画化したのが『白ゆき姫殺人事件』だ。
化粧品会社の美人OL・三木典子が人気の少ない山中で無惨に殺害された。あるテレビディレクターの不用意なソーシャルメディアへのつぶやきにより、噂はネット上で瞬く間に広がり、典子の同期入社の地味な女性社員に疑いが向けられる。容赦ない誹謗や中傷、噂に翻弄されていく人々……。
そんな物語のなかで、被害者となる三木典子を演じたのが、モデル、バラエティ、ドラマなど幅広いジャンルで活躍中の菜々緒だ。劇中、いくつもの顔を持つ女性を演じた彼女に、映画初出演の感想や、ソーシャルメディアとの付き合い方などを聞いた。
菜々緒:すべてが初めての経験だったので、分からないことは素直に聞かせていただきました。長野のロケは1週間で、そのなかで、撮らなくてはいけないシーンがたくさんあったので、すごく時間に追われている感じはあり、映画を撮影するのって大変なんだなって思いましたね。
菜々緒:典子という役は、礼儀正しかったり、雰囲気が悪かったりと、見る側によって、同じ人間でも性格がまるで違っているように感じる人間だったので、それぞれの人格のパターンごとに撮影するという方法でした。途中、1人で3つの人格を演じなくてはならないので、混乱してしまう部分もありましたが、色々な人格を演じるということで、客観的な視点が大事だと思ったので、監督さんやスタッフさん、共演者の方々にも相談して、色々なアドバイスをいただきました。
菜々緒:学生時代は(井上真央演じる)城野美姫のような、ちょっと目立たなくて、光と影だったら影のタイプでしたね。だから美姫に共感する部分はあります。今は、こうした仕事をさせていただくようになり、典子のような注目される立場の人の気持ちも、少しは分かるようになったのかもしれませんね。
菜々緒:自分が発信した文章が、人によっては、まったく自分の意図していることと違うように受け取られてしまうことが実体験でもあります。真剣に丁寧に返した言葉でも、すごく冷たくあしらわれているように感じてしまう人もいますし……。何かひとつフィルターを通すことによって、感じ方が大きく変わってしまうという怖さは感じていますね。いかに人と対峙してちゃんと会話をすることが大事かということを実感しています。
菜々緒:SNSやツイッター、ワイドショーなどは真実もありますが、すべてを鵜呑みにしてしまうのは危険だなと感じています。ソーシャルメディアはとても便利である反面、脅威にもなりますよね。たったひとつの軽率な行動によって、大きな事件になったり、人を傷つけたり……。最近だとリベンジ・ポルノみたいな事例もありますし。身近であるからこそ、小さな行動にも責任を持たないと、関係ない人を巻き込んだりしてしまいますから。
菜々緒:私自身、この仕事を始める前から、会ったこともしゃべったこともない人から嫌われるってことは結構あったんです(笑)。だから、この世界に入って「あの子って絶対性格悪いよね」って言われるようなことがあっても、鍛えられていたので、あまり気にしないようにはなっていますね。でも見た目で色々と決めつけられてきた分、私は人に対して、他人から聞いた話などは鵜呑みにせず、自分で会って感じたことだけを信じるようにしています。
菜々緒:ないですね。人生で接点を持つ人なんて限られていますし(笑)。分かってもらえる人に分かってもらえたらいいです。「冷たそう」とか「性格悪そう」ってイメージをもたれやすいんですけれど、逆にそういうイメージから、今回の役の話をいただけたのかもしれませんしね。まあ、誤解されないようには頑張りたいと思います(笑)。
菜々緒:難しいですね(笑)。私自身があまり人と深く関わろうと思わない人間なので、色々な人を観察するうえで、あまりトラブルにならない距離感というのを考えているんだと思います。基本的には自分からは自分のことを発信しない。そういうことで、いらぬ嫉妬などが回避できるのかなって思いますね。
菜々緒:それぞれに色々な役割があると思うのですが、求められていることに応えていこうというのが私のやり方なんですね。それがうまい方向に進んでいっているのかなって思います。あとはやったことに関して予習と復習は必ずやっています。最近、お芝居の楽しさが少し分かってきたので、今後も機会があれば続けていきたいとは思っています。今回初めて映画をやらせていただきましたが、その場で反応が返ってくる舞台などにもとても興味があるので、そちらも視野に入れてお芝居の勉強をしていきたいです。
菜々緒:SNS、ツイッター、ワイドショーといった身近な題材がテーマの、とてもリアルな作品なので、自分に置きかえて見ていただけると、より一層楽しめるんじゃないかと思います。ぜひ劇場で見ていただきたいです。
(text&photo 磯部正和)
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