1967年、アメリカのジョージア州に生まれる。『プリティ・ウーマン』(90年)で大ブレイク。『エリン・ブロコピッチ』(00年)でアカデミー賞主演女優賞を受賞。ハンクスとは『チャーリー・ウィルソンズ・ウォー』(07年)で初共演。主な出演作は『ミスティック・ピザ』(88年)、『ベスト・フレンズ・ウェディング』(97年)、『ノッティングヒルの恋人』(99年)、『オーシャンズ11』(01年)『食べて、祈って、恋をして』(10年)など。私生活では男2人、女1人の子どもを持つ母親でもある。
2度のアカデミー賞に輝く安定した演技力とフレンドリーで温かい人柄で日本でも人気のある名優トム・ハンクス。彼が、『すべてをあなたに』(96年)から15年の時を経て再びメガホンを執った監督作『幸せの教室』が5月11日より公開となる。
有能な販売員として評価されながらも学歴を理由に突然リストラされてしまった男が、ショックに打ちのめされながらも学校に通い始め、様々な人と出会い前進していく姿を描いた作品だ。
前向きな気持ちを忘れない中年の主人公をハンクス自身が演じ、彼に影響され、前向きさを取り戻していく教師をジュリア・ロバーツが演じている。
見る者に勇気を与える本作について、ハンクスとロバーツに語ってもらった。
ハンクス:僕は、普通の人が親近感を抱く、現実に根付いた映画を作りたかったんだ。ヒーローのような役ではなく、普通のアメリカ人と同じ問題を抱える地味な主人公を演じたかった。「こんなことが自分にも起こるかもしれない」とみんなが感じてくれる、現実味のある人間ドラマを狙った。そして、「(つらいときは)この主人公を見習って切り抜けよう!」と思ってもらいたいんだ。
ハンクス:その通り。不況は新聞の見出しだけではなく、実際に普通のアメリカ人を直撃している。(主人公の)ラリーは、仕事だけでなく家や車まで失う。国の経済が低迷すると、普通の生活にもいろいろなしわ寄せが来てしまう。20年前にも不況があったけど、「家族を飢えさせず家賃を払う」ことに苦心する時代が再来したんだ。僕らは、そうした状況を映画のなかで再現したんだ。
ロバーツ:トム(・ハンクス)は親近感が持てて、私より頭がいいのに私の意見を大切にしてくれる。トムとは友人だし、一緒に演技をするのが楽しいクリエイティブな共演者よ。
作品については、まず、タイムリーな時事的テーマに惹かれたの。アメリカが陥っている不況の深刻さについてはいろいろ報道されているけれど、テレビのニュースを見ていると「理解できないからもういい!」と感じてしまう。「お先真っ暗で死ぬしかない」って感じるの。でも、この映画は、そうした暗い経済状況を、誰もが分かる言葉で説明しながら、解決策は個人のなかにあるんだと優しく教えてくれるの。人はみんな、自分の人生を再生する可能性を持っているんだってね。だから、この作品に出演することを決めたの。
ロバーツ:ずっと気持ちが停滞していた彼女には、最初、ラリーは「理解できない」存在だった。良い人だけどドジで、いつも最前列に座っている。彼の目的もファッションセンスも理解できなかったけど、段々彼に刺激され、積極的な生き方をするようになるの。「人生は自分で切り開くものだ」ということを、ラリーが再認識させてくれるの。
ロバーツ:まさに最高のタイミングだったわ! 本格的に映画作りを再開し、毎日クリエイティブな仲間と仕事をし始めたときに、トムからEメールが届き、続けて脚本が送られてきたの。「もう一度女優として作品作りに参加できるなんて最高! 脚本も最高! 絶対に実現させよう」なんて超ハイテンションだったんだけど、それから5ヵ月間ずっと移動続きでヨレヨレになってカリフォルニアに戻ったの。戻る途中で「9ヵ月間休みなしで仕事ができるかな」って急に不安になったの。
ハンクス:だから気を使って撮影スケジュールを組んだじゃないか。
ロバーツ:ええ、おかげで助かったわ。どうにかやり遂げることができたの。
ハンクス:ジュリアがチャーミングなおかげだよ。
ロバーツ:家族ぐるみの付き合いだからよ。
ハンクス:お互い、大好きな映画作りを職業にしているけれど、2人とも「家族第一主義」なんだ。
ロバーツ:状況に応じて優先順位を変えているわ。家庭は常に大切にしているし、妻・母・主婦をしているのも好き。でも、「家から出て外で仕事をした方がいいな」って感じるときもあるの。外でクリエイティブな仕事をすることで、心がまた満たされるから。最近は、1年に1作のペースね。
ハンクス:君の子どもたちは、君が女優だって理解している?
ロバーツ:段々と、ママは仕事をしているって分かってきたみたい。そして、私のミートローフは絶品だけど、レストランで働いているんじゃないってこともね。
ロバーツ:友だちとしての思い出が、またひとつ増えたってこと。
ハンクス:そうだね。一緒に映画を作ると、絶対に友だちになる。今回の経験でますます絆が強まったな。
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