1994年4月12日、アイルランド人の両親の下、アメリカのニューヨークで生まれる。3歳の時にアイルランドに移住し、9歳で子役としてキャリアをスタートさせる。ブッカー賞作家イアン・マキューアンの「贖罪」を映画化した『つぐない』(07年)でアカデミー賞にノミネート、一躍脚光を浴びる。その後『ラブリーボーン』(09年)、『ハンナ』(11年)などでも注目を集め、『ブルックリン』(15年)ではアカデミー賞主演女優賞及び作品賞にもノミネートされた。『レディ・バード』(17年)でゴールデン・グローブ賞主演女優賞を受賞。2020年には『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』(19年)で4度目となるアカデミー賞、5度目の英国アカデミー賞、4度目のゴールデン・グローブ賞等にノミネートされた。待機作にウェス・アンダーソン監督の新作『The French Dispatch』がある。
1950年代、アイルランドからアメリカへと渡った女性の軌跡を追いながら、故郷や愛の意味を問い掛ける作品『ブルックリン』が日本でも公開された。『アバウト・ア・ボーイ』などの原作者としても知られる人気小説家ニック・ホーンビィが脚本を手がけ、アカデミー賞作品賞、主演女優賞にノミネートされたほか、ニューヨーク映画批評家協会賞主演女優賞など多数の映画賞を受賞、高く評価された珠玉作だ。
主演はシアーシャ・ローナン。子役としてデビューし高い演技力を誇る彼女は、本作でも、内気な少女が悲しみを乗り越えて成長していく様を繊細に演じている。今、最も活躍する若手女優とも言える彼女に、本作について語ってもらった。
ローナン:脚本がとても美しくて、とても繊細なところに惹かれたわ。ニック(・ホーンビィ)は原作をとてもよく捉えていて、すばらしい脚本を書いた。コルム・トビーンが書いた原作は、本当に重要な意味を持つ書籍よ。何千万人ものスコットランド移民の物語をとても美しく描いている。もちろん他の国からの移民もいたけど、1200万人もの人がスコットランドから移民としてアメリカに渡った。自分と同じルーツを持つ人たちの物語なので、とても身近に感じたの。これは私の両親の物語でもある。2人は80年代にアイルランドからニューヨークに渡り、同じ経験をした。時代が違えど、移民が経験する困難や苦しみは同じよ。そしてもう1つ、心を打たれたことがあった。ロンドンでリハーサルをしていたある日、監督のジョンと話していて突然気づいたの。エイリシュの経験はすべて、リハーサル当時の私が実生活で経験していたこと、そして今も経験していることと全く同じだった。感情的には、私はエイリシュと非常によく似た境遇に立っていたの。
ローナン:物語は、私が演じたエイリシュ・レイシーを中心に進行する。簡単に言うと、彼女は新しい生活を始めるために、故郷を出てニューヨークに行くの。生まれ育った環境とは全く違う世界に、彼女はたった独りで飛び込む。知り合いは1人もいない状況なの。
ローナン:2人ともすばらしい男性でそれぞれ別の方法で彼女に安心感を与えてくれるので、エイリシュはすばらしくも胸が張り裂けそうになるの。ジムは故郷の象徴であり、確かな安心感を与えてくれる。人は故郷を離れると特に、同郷の人といるととても居心地よく感じて、互いに通じ合えるものよ。それに対してトニーは必死にもがいているイタリア系アメリカ人よ。エイリシュを心から愛していて、エイリシュを守り一生幸せにするために間違いなく全力を尽くしてくれる。2人とも本当に多くのものを与えてくれる。だから最終的にはエイリシュが何を取るかにかかっている。。
ローナン:私たちには、初めから不思議な結びつきがあった。私とエモリーの間ですぐに化学反応が起こったの。役を演じていない時の私たちの関係は、私のアイルランドジョークに彼が必死でついて来ようとするという、私が常に彼を試しているような関係よ。つまりエイリシュとトニーと同じように、冗談を言い合える仲なの。すぐにそんな関係になれたから、実際に一緒にシーンを演じる時にはすでに、すぐに役に入れる状態だった。彼をスクリーンで見られて本当に嬉しいわ。彼は若く、仕事のことを真剣に考えていて、仕事を本当に愛していて、演技力もすばらしい。
ローナン:現場で何が起きているのか、現場の状況をいつも完全に理解している。そして人がこれから何をして、どうすればより上手くやれるかも分かっているの。ジョンはいい意味でこと細かく指示を出してくれる。彼の指示はとても具体的で、完璧に理にかなっている。彼の求めるところに到達するまでに時間がかかる時もあるけど、彼は理解を示し、尊重し、俳優の力になってくれる。とてもニュアンスが難しい繊細な演技の時は特に、段階を踏んで気持ちを作っていく必要があるの。そんな時ジョンは上手に俳優を導いてくれて、面倒を見てくれたわ。
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