1986年生まれ。福島県出身。2008年に「西洋骨董洋菓子店 〜アンティーク〜」でデビュー。その後も「生徒会の一存」、「大図書館の羊飼い」など、アニメ、ゲーム、ラジオ、洋画吹き替えなど、幅広いジャンルで活躍している。
全世界累計40億PVを突破した人気WEBコミック「銀の墓守り(ガーディアン)」がアニメ化され、現在、TOKYO MXにて放送中である。主人公は、何者かに誘拐されてしまった美少女・陸怜からネットゲームのデバイスを渡されたプロ級ゲーマーの陸水銀。彼がそのデバイスに触れると、ゲームの世界に吸い込まれてしまう。そこは千年間、大地の母神・磐古の墓を巡り、墓荒らしと墓守りが攻防を続ける場所だった……。
豪華スタッフ、そして豪華声優陣が集まった同作。主演の陸水銀役の福山潤、そしてヒロイン陸怜役の斉藤佑圭に話を聞いた。
福山:1年以上前にお話をいただいたんですが、原作が中国のウェブコミックということで。これをどうやって日本で作るのか。企画に対する興味がありましたね。
斉藤:わたしが今まで演じてきたキャラクターとは違う、正統派のヒロインに近いので、わたしに演じられるのかと不安はありましたが、実際にアフレコをしてみて、いろんなことも挑戦させていただいていて、やりがいはありました。
福山:1クール目の収録は終わっているのですが、ストーリーの進行なども安心して見られる王道感がふんだんに盛り込まれているなと感じました。よくよく考えたら、僕が声優になる以前のアニメにあったような、こういう王道的なテイストの作品をやらせてもらうのは初めてかもしれません。
斉藤:陸怜はお嬢さまで、ヒロインらしいヒロインなんです。最近の作品って女性が強いパターンが多くて、女性が男性を助けるようなところもありますけど、この作品に関しては、ヒロインとして守られているというか。女性としてもかわいいですし、魅力的に見えました。これからどう展開していくのか楽しみですね。
福山:過去に1度か2度お会いしたことがあるという状態で。ガッツリやらせてもらうのは今回が初めてです。
斉藤:わたしは福山さんが活躍されていた作品をファンとして見てきた世代なので、正直な第一印象は「福山さんだぁ!」という感じですね(笑)。
福山:珍獣と一緒なんですよ(笑)。
斉藤:福山さんからお芝居で学ぶことはたくさんありますし、現場の雰囲気作りが素晴らしいんですよ。やはり現場の雰囲気は主役で決まると言っても過言ではないですからね。主役の方が明るいと、現場が明るくなりますし、そうすると若手の方もやりやすい。失敗しても大丈夫という雰囲気になりますし、それはすごくありがたいことなんです。その現場の空気の中にいると、安心感がありますね。
福山:技術面で言うなら、日本人のスタッフも多いので、あまり変わらないですね。ただアニメってどうしても世情に影響されるものですから。バブルの時代なのか、高度成長期なのか、ロストエイジなのか。それによって主人公の性格が変わってしまうくらいのものなので。おそらくそういったところで、今の中国の状況に即して描かれているのかなと思いました。この作品に懐かしさや、王道的なものを感じるのは、いわゆるイケイケだった頃の日本が垣間見えるからかもしれませんね。
斉藤:善と悪がハッキリしている作品って、最近の日本ではあまりないですからね。日本のアニメのいいところが踏襲されてる感じがしました。
福山:僕らの世代にとってはノスタルジーというテイストもありつつ、今の時代に作られている作品なので、今の新しい技術が含まれているのが面白いですね。
斉藤:CGもすごいですよね。
福山:逆に今の10代の子たちがこういう王道のテイストに触れてどう思うのか興味があります。
福山:新キャストの方は本当に面白い方ばかりいらっしゃるんですよ。僕たちは先の展開を知らない分、キャスティングも誰が来るか分からない。毎回、香盤表を見ながら、「今日は誰々さんが来るのか!」ということになるんですよ。
福山:二枚目過ぎるから二枚目にするなと言われてしまうんですよ(笑)。
斉藤:本当は三枚目にしてほしかったみたいですね。
福山:本当はダメなんでしょうけど、そう言われてなんかうれしいです(笑)。
斉藤:陸怜はそんなにないですね。最初の方で、年齢感をもうちょっと若くしてくださいと言われたくらいで。でも、ゲームの世界に出てくるアバター、小さい陸怜ちゃんがいるんですが、それはもっとキャラものっぽくやってくれと言われました。ですから等身大の陸怜とはだいぶ変えています。
福山:ピンと来ているような来ていないようなという感じですが。僕らは日本語の仕事なので、世界で見てもらうということが頭の中になかったんですよ。海外の人がなるべくオリジナルボイスでアニメを見ようとしてくれているということを、この仕事をするようになってから知りました。今回、原作は中国のコミックなので、それを日本の声優が演じる。もちろん向こうの声優さんが演じるバージョンもありますし、両方楽しんでもらえたらいいなと思っています。
斉藤:わたし、人生で一度も海外に行ったことがなくて。パスポートも持っていないんです。そんな中で、中国で放送されるアニメのヒロインとして参加できて、かつ中国の方がわたしを知ってくださる、というのはすごいことだなと。一気に世界が広がるなと感じました。これはもう、そろそろパスポートを取らなきゃいけないかなと思っています(笑)。
斉藤:そうなんですよ。そういう意味では、現地の方がどう見てくださるのか、不安もありつつ、期待もありつつという感じですね。
斉藤:おめでとうございます!
福山:20年という数字を聞くと長く聞こえるかもしれませんが、個人的にはあっという間だったなという感じですね。それなりに自分の中で突っ走ってきた感覚があるので、あっという間だったという気持ちと、まだ20年でこのレベルなのかという気分がありますね。
斉藤:えー!?(笑)
福山:いや、自分の想定の中では、本当はもっともっとやれているハズだと思っているんですよ。頑張らないとな、とは思っているんですけど。ただ、ここまで長くやれる芸事って少ないんじゃないかと思っていて。だから20年でもまだ入り口あたりかもしれません。僕がデビューした頃って、10年でようやく新人じゃなくなり、20年で中堅だよと言われてきた時代でしたから。
福山:僕らの世代って、なかなか一人前ですと言えないんですよ。上の世代の方がたくさんいらっしゃるから(笑)。60年やっている人がざらにいますし、そういう人たちが現役なんですから。年を重ねると、肉体的な衰えがあるはずなのに、彼らは逆に説得力や味わいが増す一方。妖怪としか言い様がないですよ(笑)。だから自分が一人前というのも恥ずかしい。20年やってきたら次の30年を頑張ろうと。そういう気持ちですね。
斉藤:わたしはデビューしてまだ9年くらいなんですが、それでも変わったなと感じます。最近は声優さんも顔出しをして、歌って踊ってということが当たり前のようになっていますが、そういうことが自分にも求められるなんて想像もしていなかった。声優というのは陰で支える縁の下の力持ち的な気分でいたので。でもファンの方からも表舞台に出てほしいと求められることもありますし。求められるからには純粋に頑張りたいという気持ちですね。
福山:僕もそういう環境になるのは総じていいことだなと思っています。注目されることで新たな才能が集まるようになるわけですから。それは喜ばしいことだと思います。もちろん昔と比べるとなくなってしまったものもあるかもしれませんし?、それがさみしい部分もあるんですが。それを言ってもしょうがない。僕らが頑張るしかないものなので。ただ、作る方にも才能が流れてほしい、という思いがあります。ぼくら声優ばかりクローズアップされるのは正直、違うなと思っているんで。アニメーションは総合力なので、声優ばかりが注目されるようになっても、その分、アニメーターや演出家が減ってしまったら意味がない。監督や作画監督、スタッフなど、一緒にアニメを作る仲間たちの輪が広がっていったらいいなと思います。
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