『花は咲くか』渡邉剣×天野浩成インタビュー

腐男子2人が“初キスシーン”秘話を告白!

#天野浩成#渡邉剣

キスシーンは初めてだった(渡邉剣)

今、注目が高まっている漫画ジャンル、BL(ボーイズラブ)を映画化した『花は咲くか』。原作は日高ショーコによる人気作で、性格も立場も違う年の差のある2人が徐々に惹かれ合う恋愛模様を描いている。本作で純愛を体現して見せたのは、寡黙な美大生の蓉一を演じる渡邉剣と、広告代理店のサラリーマン・桜井を演じた天野浩成。2人が初めて触れたBLの世界の魅力や、ドキドキで挑んだキスシーンについて語ってくれた。

──BL作品である本作に出演された経緯について教えてください。

渡邉:作品の説明や出演の話とか聞かされず、「読んでみて」ってマネージャーから脚本を渡されたんです。読んでいくと、どうやら恋愛ものだなってわかったんですが、「主人公・蓉一の相手の桜井さんって女性だっけ?」って登場人物紹介見て男だと確認して、読み進めては「あれ?」と思ってまた確認して…って何度か繰り返して、「あ!これBLだ!」ってやっと気づきました(笑)。「とても面白かったです」とだけマネージャーさんに伝えると、数日後に『花は咲くか』の出演が決まったって話をいただいて、それで脚本を読ませたんだって後で納得しました。マネージャーさんは僕の率直な感想を聞いて出演を決めたかったみたいです。

天野浩成(左)と渡邉剣(右)
──マネージャーの方が策士だったんですね。

渡邉:そうだったみたいです(笑)。でも、おかげで作品に対して先入観なく、好感を持てました。BLを読んだことはなくて、もっとドロドロした暗い雰囲気かと思ってたんですが、まったくそんなことはなくて。男女間の恋愛と変わらないというか、むしろピュアに感じました。

天野:私も、BLはもっとネガティブだったり過激だったりするイメージでした。でも、『花は咲くか』は男同士だとかいう以前に人と人の話で繊細な人間ドラマで、脚本が非常に気に入ったので出演をお受けしました。

──お互いの第一印象はいかがでしたか?

渡邉:初めてお会いした時の印象は、口数の少ない静かな方なのかなと思いました。話してみると、打ち解けてくれて、そんなことなかったんですけど。

天野:全然そんなことないよ(笑)。僕は…キス、するんだなーと(笑)。

渡邉:この人と!

天野:この人と(笑)。あと、僕は『仮面ライダー』シリーズをやっていて、彼は戦隊ものシリーズをやっているんだけど、東映の特撮のスタッフのいろんな方に『剣をよろしくね!』とよく言われたんですよ。みんなに愛されてるんだなと思いましたね。

天野浩成(左)と渡邉剣(右)
──お話にでましたが、キスシーンはいかがでしたか?緊張されましたか?

渡邉:僕、初めてだったんです、キスシーンが!

天野:初めてをいただいちゃいました(笑)。

渡邉:(初めてが)天野さんでした(笑)。でも、思っているほど緊張しませんでした。相手が女性だと僕がリードしなきゃとか、ものすごく考えて緊張したと思うんです。でも、蓉一も初めてだと思うし、桜井さんが引っ張ってってくれるから、すんなり撮影できました。

天野:僕も相手が女性よりやりやすかったです。気をつかわなくて。

渡邉:お昼ご飯の味したらヤダね、ニンニク食べるとき言ってね!って(笑)

天野:オレも食べるから!みたいな(笑)。

渡邉:相手が女性だと言えない(笑)。

天野:監督には思いっきりいってくれって耳打ちされましたね。剣くんにはとくに何も言ってないからって。1回でOKにしたいから頼んだよって念を押されました。

渡邉:僕は思いっきりとか知らなくて。キスシーンの前、天野さんが静かだなって思ってたんですけど。

天野浩成(左)と渡邉剣(右)
──一発OK出たんですか?

天野:1回でOK出ました。だいぶ短く編集されてますが、かなり長かったです。「いつカットがかかるんだろう?」と頭の片隅で思いながら、集中してました。カットがかかってふと見ると、モニターを見てるスタッフの方たちがみんなこうして(手で顔を覆って指の隙間から)見てて(笑)。

渡邉:その反応を見て(我に返ると)、恥ずかしくなっちゃいました(笑)。

──原作は読まれましたか?

渡邉:何度も読みました。登場人物を見守っている視線で読みました。みんな成長していて頑張れって思うし、ラブストーリーとしては桜井さんを応援していました。

天野:もちろん僕も読みました。BLを読んだのは初めてですね。少女漫画は好きで読んだことありますけど。

渡邉:少女漫画のほうが駆け引きとかも多いけど、「花は咲くか」はまっすぐでピュアだなって思います。純粋で綺麗な世界観です。

──BLを好きな女性を腐女子って言うように、今は腐男子っていう言葉もあってBLを読む男性も増えてきていますが、ご存知ですか?

天野:え! そうなの⁉ 知ってた?

渡邉:いや、知らなかったです!

『花は咲くか』
(C)2018東映ビデオ (C)日高ショーコ/幻冬舎コミックス

──書店に行くとBLコーナーに男性がいらして、本を選んでいたりしますよ。

渡邉:結構、自然に読めますもんね。「花は咲くか」を読んで僕の中でBLのイメージが変わりましたもん。

天野:だから、腐男子なんだよ。

渡邉:腐男子なんですかね⁉ 僕らが。

天野:腐男子なんだね、いましたね(笑)。

渡邉:ここに(笑)。

──これからもBL作品を読みたいと思いますか?

渡邉:機会があればぜひ読みたいですね。

天野:僕も好きになりました。

BL未体験の方にも見ていただきたい(天野浩成)
『花は咲くか』撮影中のオフショット

──BL作品の出演について周囲の方の反応はいかがでしたか?

渡邉:家族は頑張ってねって意外とあっさりしてました。キスシーンは男性なんでしょ?とは言われましたけど、男性のほうが僕的にはいいからって言ってました。

──天野さんは奥様(女優の雛形あきこ)は何か言われてましたか?

天野:うちも特別なことはなくて、出るよというと、そうなんだ、頑張ってねって感じでしたね。

──完成した作品を見て、ご自身でどう思われましたか?

渡邉:試写で天野さんと並んで見たんですよ。

天野浩成(左)と渡邉剣(右)

天野:一瞬、不思議な空気になったよね。

渡邉:なんとも言えない気持ちになりましたね。あ、今となりにいる人とキスしたんだって(笑)。照れ臭さが強かったです。物語としては、あ、恋愛っていいなと素直に思えるものでした。

──最後にこれから作品を見る方にメッセージをお願いします。

天野:とても素敵で綺麗な作品に仕上がっていると思います。原作を好きな方も、またBL未体験の方にも見ていただきたいです。

渡邉:ピュアで純粋なラブストーリーで、2人と周りの人間もみんな成長していく物語になってます。ピュアな恋愛をしたい、恋愛をしていた頃の気持ちを思い出したいという方、ぜひ劇場に足を運んでください。

(text:矢野絢子/photo: 中村好伸)

天野浩成
天野浩成
あまの・こうせい

1978年4月9日生まれ、愛知県出身。2004年『仮面ライダー剣(ブレイド)』で橘朔也/仮面ライダーギャレン役を務める。以降『仮面ライダーフォーゼ』、ドラマシリーズ『ぼくの夏休み』、映画『TRASH/トラッシュ』、『HiGH&LOW』シリーズなどで活躍している。

渡邉剣
渡邉剣
わたなべ・つるぎ

1996年7月16日生まれ、福岡県出身。2014年度ジュノン・スーパーボーイコンテストでファイナリストとなる。2016年『動物戦隊ジュウオウジャー』のジュウオウエレファント・タスク役に抜擢される。ほかに『世にも奇妙な物語’17 春の特別編』、テレビドラマシリーズ『明日の約束』に出演。