1947年3月19日生まれ、アメリカ・コネチカット州出身。1982年、『ガープの世界』で映画デビュー、アカデミー賞助演女優賞にノミネートされ注目される。続く『再会の時』(83年)、『ナチュラル』(84年)で3年連続オスカー候補に。自身で製作、脚本も手がけた『アルバート氏の人生』(11年)で、6度目となるアカデミー賞候補に。主な映画出演作は、『危険な情事』(87)、『101』(96)、『彼女を見ればわかること』(99)、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(14)など。
ノーベル文学賞を受賞した世界的作家の夫と、慎ましく献身的なその妻。栄光のスポットライトを浴びる夫の脇で、才能溢れる妻は、長年押し殺してきた感情が耐えがたい怒りとなってあふれ出るのを抑えきれずにいた……。
長年連れ添ったからこその夫婦の溝、そして男女の社会的格差といったテーマを浮き彫りにした『天才作家の妻 -40年目の真実-』。主演のグレン・クローズは本作でアカデミー賞主演女優賞にノミネートされた。7度目のオスカーノミネートとなった彼女が、映画について語った。
クローズ:本当に娘の演技に対しては、とてもとても誇らしく思っていたし、見ていてとても惹きつけられるものがありました。役者をやることというのは、心情をその中に保つこと。それをカメラに収めてもらってみなさんに見ていただくということ。それがちゃんと彼女から伝わってきたから。撮影前の一週間、みなで読み合わせをしたんです。その時に一緒だったのよね。監督や脚本家含め、いろんな話をしていきました。(順取りしているので)ジョーンというキャラクターの礎は娘が作らなければいけなかったから。読み合わせの時にキャラのバックストーリーを含めいろんな話をしました。娘の撮影のときは、あえて撮影は立ち会いませんでした。母としてそういう選択をしたんです。
クローズ:今の時代も私たちはこういった問題と対峙し続けなければいけない状況だけども、いつの時代も難しい問題よね。できるならば、突き詰めていってどこかで答えが見つかってみなが平等であって格差がなくなるのが望ましいんだけども。この作品は2つの側面でそういう問題に触れていると思う。この作品自体の成り立ちが女性の小説家、女性の脚本家、プロデューサーも女性で男性は監督1人。作るのに14年かかった企画。作らなければという気持ちを持ちながらみんなで作ったのだけれども、こういう物語というのは綴らなければいけないし、サポートもしていかなければいけない。女性がメインの企画というのは、これだけ時間がかかってしまうのよね……。
これからのストーリーとして私が望んでいるのは、「女性の物語として素晴らしいですね」ではなく、「男女関係なく素晴らしい物語ですね」という時代に早くなって欲しいと思っています。作品の核の部分にすばらしい女性的な要素があるからといってすばらしいストーリーと言われるのではなく、そういうことには関係なくすばらしいと言われる時代が早くくればいいな、と思っています。今重要なのは、プレッシャーというものを(社会に)かけ続けること。こういったことに対する意識を決して失わないこと。こういう物語を成立させるために戦うこと。カメラの前でも後ろでも参加をしていくことかしらね。
クローズ:女性と一口といってもみなそれぞれ違うんですよね。私もパートナーがよりよくあるために自分を抑えてしまうタイプなのだけど、母も一緒で、なにもかも判断を父に任せる姿を見てきました。母は、父のサポートもしていたけれども、どこか1人の人間として充足していなかったところがあって……1人の人間としてなにかを達成したという充足感がなかったと思うんです。人というのは人と繋がりたいという気持ちも持っていると同時に、自分が生きてきたことでなにか違いを残していきたいと思っているはず。母がそういう気持ちになれなかったというのはとても悲しいことだと思う。父が、より彼女の充足のために支えてあげればよかったと思ったりもします。もしそういうバランスができていたなら、すてきな結婚・関係だったと思うし、個人的な側面でも幸せになれたのにね。
クローズ:生きていく上で、自分を幸せにしてくれるパートナーを見つけることは、楽じゃないけど可能だと思います。でも、中年男性が他の若い女性に走るという傾向ってあるでしょう? それは男性がエゴだったりステイタスを得られるからなのかしらね。とにかく、そういう傾向はあるように思う。長く連れ添った相手が自分のキャリアを確立させる、子ども達を成長させる、(女性は)そういう支えをずっとしてくるのに、(男性は)若い女に走っていくのよね!
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