「できるだけ仕事を断る」。大人気絵本「くまのがっこう」作者が語る人気持続の秘訣

「くまのがっこう」の生みの親・あいはらひろゆき
「くまのがっこう」の生みの親・あいはらひろゆき
「くまのがっこう」の生みの親・あいはらひろゆき
映画『くまのがっこう 〜ジャッキーとケイティ〜』より
(C) BANDAI/劇場版「くまのがっこう」製作委員会
あいはらひろゆき

山の上の寄宿舎で暮らす12匹の“くまのこ”たちの日常を、ほのぼのとしたタッチで描いた絵本「くまのがっこう」。2002年の8月に発売されて以来、現在までにシリーズ全15冊が刊行され、累計170万部の売り上げを記録する人気シリーズだ。

『くまのがっこう』作品紹介(同時上映『チェブラーシカ』)
『チェブラーシカ』大橋のぞみインタビュー

主人公は唯一の女の子ジャッキー。ジャッキーと11匹のお兄ちゃんたちが繰り広げる優しい物語は、見る者の心を癒し、童心に返らせてくれる。また、洋服や小物など細部に渡ってセンスの良さも光り、子どものみならず大人のファンも急増中。そんな人気シリーズが『くまのがっこう 〜ジャッキーとケイティ〜』としてついに映画化され、12月18日より全国公開される。

絵本は、あいはらひろゆきが物語を担当し、あだちなみが絵を担当。あいはらは、オリジナルキャラクターの開発などを手がける会社・キャラ研の代表取締役でもあり、本シリーズのプロデュースも担っている。そんなあいはらに、「くまのがっこう」の絵本について、そして今回の映画化について話を聞いた。

──主人公ジャッキーの“媚びないかわいさ”が印象的ですが、キャラクター作りの着想はどこから得たのでしょうか?
あいはら:最初の本が出たのは、娘が2歳くらいの頃でした。共働き夫婦なので、毎日、保育園の送り迎えをするのですが、子どもたちを見ていて「かわいいな」と。その頃ってみんなクマのぬいぐるみみたいな体型で、お庭にトコトコ出て行ったり、窓にぶら下がってオシリをこちらに向けていたりという風景をそのまま絵本にできないかな、と思ったのがきっかけです。

──「くまのがっこう」は今や大人気ですが、ここに至るまでに苦労はあったのでしょうか? また、あいはらさんは絵本作家であると同時にプロデューサーでもあるのですが、人気を継続させる秘訣は何ですか?
あいはら:最初から、ポイントは“長く続ける”ことだと思っていたので、絵本を出した当時からグッズ展開をしていましたし、出版社とも、売れなくても3年間、年に2冊ずつは出し続けるという話はしていました。
 ただ、本を出して最初の4、5ヵ月間くらいは無風だったので、このまま消えるかなと思ったこともありました。でも2冊目が出る直前くらいから生協や直販ルートなどで火が付き始めて、タイミング良く2冊目が出た。そこにイベントや雑誌のタイアップをからめたりしたところ、売れ始めたんです。もし2冊目がなかったら、(ちょっと人気になっただけで)失速していたでしょうね。グッズも初期の頃はほとんど売れなかったのですが、作り続けて、イベントなどを通じてブランド価値を高めるアプローチをした結果、今があるんだと思います。
 今、「オシャレだよね」と言ってもらえるのは、初期の頃にすごく手をかけたから。それを継続してやり続けられるかどうかが大事なんだと思います。あとは愛情でしょうか。自分が手をかけて育てた子であれば、人気がなかろうが育てるわけじゃないですか(笑)。

──では、人気を得た今、気をつけているポイントは?
あいはら:できるだけ仕事を断る(笑)。いらない物は作らない。一方で、お金にならないけどやっておかなきゃいけないことは、ムダだと言われてもやる。人気が出るとどうしてもイケイケになってしまうので、今は常にそれらのコントロールに気を配っています。

──映画化に至る経緯を教えてください。
あいはら:今までもいろんなお話しをいただいていたんです。でも、テレビはあまりやりたくなかったのでお断りしていました。そんななかで映画のお話が来て、映画ならばトライしてみたいな、と。そもそも絵本を作るときからアニメに近い発想を持っていて、それを平面に落とし込むような感じで作ったので、もともと映像化には興味があったんです。

──完成した映画を見て、新しい発見などはありましたか?
あいはら:お兄ちゃんたちですね。絵本だとお兄ちゃんたちはあまり喋らない。彼らの個性を書き込むことは物理的にも無理なのですが、映画では、みんなが結構、勝手なことを喋っている。あれは、それぞれのキャラクターの細部まで描けるという映画ならではの面白さですね。お兄ちゃんたちはあんなに面白い奴らだったのか!というのが、興味深い発見でした。

──今回はロシア生まれの人気アニメ『チェブラーシカ』と同時上映ですが、ライバル心は?
あいはら:もちろん、非公式にはありますよ(笑)。ただ、上映時間も『チェブラーシカ』のほうが長いし、ネームバリューもはるかに上。僕自身、ファンですから(笑)。だから、一緒に上映してもらえるのは嬉しいことです。もともと、『チェブラーシカ』と一緒に、というお話だったので受けたということもありますし。ただ、次回は『チェブラーシカ』くらいの長さの作品が作れるようになれたらいいな、とは思います。

『くまのがっこう 〜ジャッキーとケイティ〜』は12月18日よりTOHOシネマズ 六本木ヒルズほかにて全国公開される(同時上映『チェブラーシカ』)。

【関連記事】
大橋のぞみと松浦愛弓が『チェブラーシカ/くまのがっこう』で舞台挨拶
[動画]東京国際映画祭開幕!大橋のぞみ&松浦愛弓のキュートさに観客もメロメロ
加藤清史郎が舞台挨拶をハシゴで、原田知世らがお見送り
このコビトたちを知ってる? キモカワイさで秘かに人気の絵本が初映像化!
大橋のぞみが名探偵コナンと空中デート!
映画情報が盛りだくさん、ムビコレ!