「いつかはロケ地の石巻で上映したい」いしだあゆみが被災地への思いを吐露
孤独な少年がさまざまな出会いと別れを繰り返しながら戦中戦後の混乱期を必死に生き抜いていく様子を描いた『エクレール・お菓子放浪記』。この画が5月21日に公開初日を迎え、テアトル新宿で行われた舞台挨拶にキャストのいしだあゆみ、子役の吉井一肇(よしい・はじめ)、早織と、近藤明男監督、鳥居明夫ゼネラルプロデューサーが登壇した。
震災による被災地となった宮城県石巻市を中心にロケが行われた本作。この日の舞台挨拶は、彼の地で犠牲になった方たちへの哀悼の意を込め、登壇者と観客による黙祷から幕を開けた。
鳥居プロデューサーは「宮城発の映画として製作され、東北での4月23日先行上映の初日を持ち望んでいた矢先に大震災があり……。押し寄せた津波が、メインロケ地の石巻市を一瞬にして飲み込み、撮影にも使われ、先行公開の場所となるはずだった岡田劇場も跡かたもなく流されてしまいました。エキストラで出演した人には、未だに行方が分からない人もいらっしゃいます」と挨拶。「私たちが何年も費やした夢が、一瞬にして消え去ってしまった」と震災当時は茫然としてしまったことを明かしていた。
だが、それでも前に進まなければという思いを強くしたようで、「いつかは必ずロケを行った石巻で上映を行うことを願って、チャリティ試写会や募金活動、被災地へのお菓子を届ける支援など行ってきた。これからも活動を続けていきたいと思います」と話していた。
いしだも「石巻にはロケで本当にお世話になりました。美しい日本の風景がこの映画には映り込んでいます。石巻の方にもぜひご覧いただきたいのですが、やはりすぐにというわけにはいかず、まだ現地の方に何の恩返しもできていないが、いつか上映できる日が来ることを願っています」と石巻への思いを吐露。
一方、今回の役どころについては「戦中戦後をたくましく生きたおばあちゃんの役で、『金、金、金〜!』と強欲なおばあちゃんなんです(笑)。共演の林隆三さんにも、『ぼくが女優だったら絶対にこの役やりたい』と言われ、とても嬉しかった」と語っていた。
主人公のアキオ少年を演じる吉井は「撮影のために石巻で約1ヵ月生活しました。そのとき、お世話になった方たちが、今は被災の被害に遭い大変と聞いて本当に心配しています」と話すと、いしだとのケンカのシーンでは、「いしださんから『本気でぶつかってきなさい!』と言われた」と笑顔を浮かべていた。
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