ロッククライミング中の落石事故で右腕を挟まれながらも、127時間後に奇跡の生還をはたした実在の登山家アーロン・ラルストン。現在公開中の『127時間』は、彼のノンフィクションを『スラムドッグ$ミリオネア』のダニー・ボイル監督が映画化した、極限状態における人間の生命力のすごさを描いた感動作だ。
そのラスルトン本人から、日本へのメッセージが届けられた。絶望の淵に追いやられながら、それでも明日を諦めずに奇跡の生還をはたした彼からのメッセージだけに、きっと多くの人の心に届くはず。ここに全文を掲載したい。
アーロン・ラルストンからのメッセージ
日本での震災、津波、そして原発事故のニュースを聞き、その被害の大きさと、失われた数多くの命を思い、とてもショックを受けました。
子どもたちを助けるため、高台へと逃げずに小学校へと向かった人たちが津波に飲み込まれてしまったというニュースは、私自身も親になったばかりという立場もあり、心を痛め、涙しました。一方で、海に放り出されながらも、流された屋根の上で数日間生き延びて救出された方のニュースなど、震災後の日本の皆様の勇気と強さには、本当に感動を覚えました。
日本の方々が感じている悲しみ、混乱、失ったものの大きさは、私には計り知れないものだと思います。互いに助け合い、復旧に向けて頑張っている皆様の姿からは、本当に勇気をもらっています。私は、絶望の底でも、明日への希望と未来を信じて前に進めるのが、人間の持っている強さなんだと思っています。
家族を思う力、愛する人を思う力が、皆さんに復旧への強い力と勇気を与えてくれるように祈っています。それこそが、私自身が窮地に立たされていたとき、そして、究極の<決断>をするときにすら、微笑んでいられた原動力であったからです。生きたいと思う力、それは愛するための力だと、僕は信じています。
将来、家族と共に日本に訪れる機会があれば、街やお寺を見てまわったり、電車に乗ったり、スキーをしに北へ行ったり、富士山に登ったりしてみたいです。そして、妻や子どもたちと、広島の平和記念公園の千羽鶴を一緒に見に行くことを実現したいと思います。
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