「この世には恋愛と性欲しかないのか!?」と突っ込みたくなるドロッドロでクズな恋愛ドラマ

#クズの本懐 #元ネタ比較 2017.02.10

【元ネタ比較】『クズの本懐』／前編
え！これを地上波で!?と驚くきわどい原作

よく、まあ、これをテレビで流そうと思ったな！と、まずはじめに思った「クズの本懐」のTVアニメ化。それだけでも驚いたのに、なんとドラマ化までされて、今期はアニメとドラマの両方が放送されている。

原作は「月刊ビッグガンガン」で連載中の横槍メンゴ原作による同名コミック。一見理想的な高校生カップルを中心に、周りの者たちとも関係が入り乱れ、「この世には恋愛（と性欲。ここ大事）しかないのか！？」とつっこみたくなるぐらいにドロッドロで、タイトル通りにクズな恋愛ドラマが繰り広げられる。

いったいどこまで、どのようにアニメ化、そして実写化して地上波で放送しようというのか、スタート前から注目が集まっていた。

原作者、横槍メンゴはここのところ頭角を現している成人向けコミック、いわゆるエロマンガ出身という経歴を持つ女性漫画家。「週刊ヤングジャンプ」に岡本倫原作・横槍メンゴ作画で連載した「君は淫らな女王」もエロティックなコメディで人気を博した。

しかし、ひとことにエロと言っても即物的なものでなく、恋愛感情の延長線であり、女性漫画家らしい線の細いかわいい絵柄で描かれて、切なさも伝わってくる。「クズの本懐」はその真骨頂だ。心と体は切っても切れない、表裏一体となったどうしようもなさが胸に込み上げてくる。

安良岡花火と粟屋麦は品行方正な美男美女として人もうらやむ高校生カップルだ。しかし、花火は幼い頃から慕う新任教師の鐘井に、麦は元家庭教師だった音楽教師の茜にそれぞれ恋心を抱いている。花火と麦は鐘井と茜が距離を縮めていくのに気づき、お互いの恋心を察した花火と麦は付き合っているフリをすることにする。お互いを好きにならない、どちらかの恋が成就したら関係を終わらせる、お互いの身体的な欲求はどんなときでも受け入れる、という条件のもとで。（文：入江奈々／映画ライター）

（中編「偽りの相手との触れ合いが切ない〜」に続く…）

『クズの本懐』アニメ版はフジテレビ“ノイタミナ”にて毎週木曜24時55分から放送中、ドラマ版は毎週水曜日25時55分から放送中。

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