日本映画界最高齢、99歳の新藤兼人監督の渾身作『一枚のハガキ』が8月6日より公開となり、新藤監督をはじめ、キャストの豊川悦司、大竹しのぶ、柄本明、倍賞美津子、津川雅彦がテアトル新宿で初日舞台挨拶を行った。
・映画を鑑賞された天皇陛下が、新藤兼人監督らにお言葉
・[動画]『一枚のハガキ』予告編
本作を最後に映画監督を引退すると表明している新藤監督。第二次世界大戦が引き起こした悲劇を描いた作品について「私の体験をベースに作りました。なぜ戦争のようなバカバカしいことをするのか、戦争反対をテーマに作った作品です」と語った。
奇しくもこの日は広島原爆の日でもあり、豊川は、福島原発の事故が未だ収束していないと前置きしてから「8月6日は広島に原爆が落とされた日で、この映画は、そういう悲惨な痛みを乗り越えたその先にある希望の光を描いている。皆様にもその“光”が数多く届くようお祈り申し上げます」と、真摯な思いを語った。
また、前作『石内尋常小学校 花は散れども』に続き新藤監督とは2度目となる豊川は「2度あることは3度とも言いますので、監督、これからもよろしくお願いします」と、“次回作”への期待をにじませた。柄本も「『石内尋常小学校〜』も、最初は最後の作品ということだった。“最後の作品”がまだこれからも続くんじゃないか」とコメント。大竹も「“最後の映画”を、来年また“100歳記念”で作ってもらえたら」と笑顔を浮かべた。
終盤には、大竹から新藤監督に大きなバラの花束が贈られる演出も。年齢に合わせて99本のバラを抱えた監督は「重くて落としそうです」とおどけて客席の笑いを誘いつつも、「これまで独立プロでやってこられたのは、本当にみなさんのおかげ」と、支えてくれた人々への感謝を語った。
さらに「いつもお金がなく、つまづいて額をぶつけ続けていましたが、『ここで倒れてはダメだ』と泣きたい思いをこらえ、前を向いて歩いて参りました」と、苦労の日々を振り返ってから、「しかし、何でも終わりがあるように、私にも終わりが参りました。みなさんとお別れです」と、別れの挨拶を口に。「私は死んでしまいますけれど、私が作ってきた映画は残ります。私自身が死んでも、(映画があれば)みなさんに思い出していただける。それを望みに死にたいと思います」と続けると、客席から大きな拍手が贈られていた。
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