(…前編「これって誰トク!?の大変さ。思春期のコドモは複雑すぎる!」より続く)
【ついついママ目線】『スウィート17モンスター』後編
恋愛良ければすべて良しなの!?
思春期はとにかく厄介だ、と思わせる『スウィート17モンスター』のヒロイン・ネイディーン。毛嫌いしている兄と親友のクリスタが付き合い始めると、彼女は拒絶反応を示す。
でも、ネイディーンは恋愛なんて意味ない、無駄!と考えてるわけでもない。彼女は彼女で気になる男の子がいるのだが、それがいかにも女たらしそうな雰囲気のほとんど話をしたこともないイケメン。
要するにネイディーンは外見だけに惹かれてて、ろくに交流もないまま思春期らしいふしだらな妄想だけが膨らむ始末。ネイディーンに好意を持っていて気さくな韓国系の男の子には素っ気ないのに。クリスタのほうがよっぽど地に足をつけた恋愛をしてると思える。
そして、ネイディーンは自己中に周りを振り回してさんざん当たり散らした挙げ句、恋愛で良い兆しが見えれば人生すべてが味方についたようなポジティブな空気をまとい出す。
結局はそれかい、恋愛至上主義かい! はーっ、アホらし。でも、振り返ってみれば思春期なんてそんなものだったかも。さまざまな悩みに押しつぶされそうになっても、彼氏ができればとたんにコロッとウキウキしだしたものだった。
冷静になって考えてみると、こんな思春期の一喜一憂に振り回されるのは馬鹿げたことと言えるかもしれない。子どもがジタバタしていても、またやってるわ、と落ち着いて構えているのもいいだろう。
本作に登場する皮肉屋の教師・ブルーナーはネイディーンとちょうどいい距離感だった。深追いして彼女の領域に踏み込むことはなく、かと言って彼女を拒絶することはなく受け入れる存在だ。しかし、この関係性を親子で築くことはできないだろう。思春期の子どもがこんな存在を見つけてくれればラッキーだと思う。(文:入江奈々/ライター)
『スウィート17モンスター』は4月22日より全国公開される
入江奈々(いりえ・なな)
兵庫県神戸市出身。都内録音スタジオの映像制作部にて演出助手を経験したのち、出版業界に転身。レンタルビデオ業界誌編集部を経て、フリーランスのライター兼編集者に。さまざまな雑誌や書籍、Webサイトに携わり、映画をメインに幅広い分野で活躍中。
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