監督が語る映画音楽のあるべき姿とは? 『UGLY』舞台挨拶に窪塚洋介が登壇
俳優の窪塚洋介、ホウ・シャオシェン監督作などの音楽を手がける半野喜弘、映像作家の柿本ケンサク。この3人が意気投合し、パリでのオールロケを敢行した映画『UGLY』の完成披露舞台挨拶が12月5日にシネマート六本木で行われ、窪塚、半野、柿本と、キャストの桃生亜希子が登壇した。
本作は何の目標もなく生きてきたカメラマンのカズヤが、パリに住む腹違いの兄弟・聡を訪ねるところから始まるストーリー。だが、聡はどこにもおらず、一緒に住んでいたはずのルームメイトも何も語ってくれない。
監督をつとめた柿本は「今まで何本か映画を撮ってきたが、初めてパッケージまで全部を考えた作品。この映画を撮る前はまだ子どもが産まれていなかったが、撮り終えた後、子どもも産まれ、そんな大事なときなのにお金をたくさん使い、仕事もせずに貧乏まっしぐらみたいな感じだったので、この作品が公開されて本当に嬉しい」と挨拶。
柿本とは以前からミュージックビデオを撮ってもらうなどして知り合いだったという窪塚は、主人公のカズヤを演じるに至った経緯について「あるとき(柿本から)人を紹介したいと言われて、紹介されたのが半野さんだった。最初は一緒にご飯でもという感じだったが、話をしている間に半野さんが、今回の映画の骨組みになるような話をしてくれ、それがすごく魅力的だったこともあって、『じゃあやろうよ、いつやる』みたいな感じで盛り上がった」と説明。「その勢いで作ったみたいなところもある」と振り返っていた。
一方、柿本が学生時代に撮った映画に出演して以来の知り合いという桃生は、柿本について「実の弟のような感じ。でも、すごく頼りになる私より全然しっかりしている弟」とコメント。だが、本作への出演に関してはパリでのオールロケということや、「向こうに行かないとわからないから」と柿本から言われたこともあって、最初は不安を感じていたと告白。その上で「直感的な部分や、窪塚、半野といった魅力的な人と一緒に仕事をできること、海外で撮影することなどが魅力的で、最終的にやりたいという思いが(不安に)勝った」と出演を決めた理由を明かしていた。
また、柿本と共に監督をつとめた半野は、音楽に対するこだわりを聞かれ「映画のなかでもっともフィクションなのが音楽。人がいる、物語がある、言葉がある、街がある。それらはすべて本物だが、音楽はそこには流れていない。そうしたなか映画音楽は、表現できないため息や、流れていない涙を表現するためにあるのであって、それ以上のものを装飾するのは映画音楽のあるべき姿ではない」と、自らの考えを語っていた。
『UGLY』は12月10日〜12月22日までシネクイントにて期間限定レイトショー公開となる。
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