相思相愛の細野晴臣×是枝裕和監督が、『万引き家族』で待望の初顔合わせ!

#万引き家族#映画を聴く

『万引き家族』
(C)2018 フジテレビジョン ギャガ AOI Pro.
『万引き家族』
(C)2018 フジテレビジョン ギャガ AOI Pro.

【映画を聴く】『万引き家族』前編
細野晴臣も是枝作品のファン

カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞してからおよそ3週間。是枝裕和監督の『万引き家族』が、いよいよ日本で公開される。これまでさまざまな形の“家族”を描いてきた是枝監督による、家族を超えた家族の物語。「リアリズムの先に寓話が立ち上がってくるような映像と音にしたい」という監督の意向で、撮影&照明および音楽には是枝作品初参加の面々が集結している。音楽を担当するのは周知の通り、細野晴臣だ。

パルムドール受賞作に込めた憤り/是枝裕和監督インタビュー

是枝作品の音楽といえば、『誰も知らない』『歩いても 歩いても』、テレビドラマ『ゴーイング マイ ホーム』のゴンチチ、『奇跡』のくるり、『海よりもまだ深く』のハナレグミあたりがまず思い出される。ぱっと見、豪華かつバラエティ豊かな人選に思えるが、音楽そのものはアコースティック基調で静謐な、隙間を活かしたトーンという点で共通している。あくまでも主役は映像なのだ。グレン・グールドの既発のピアノ曲を中心に使った『そして父になる』でもその方針は変わらない(ただし『海街 diary』の菅野よう子と『三度目の殺人』のルドヴィコ・エイナウディは比較的エモーショナルな楽曲が多い)。

是枝監督はもともと細野晴臣の手がけた映画音楽、特にアニメ『銀河鉄道の夜』と犬童一心監督『メゾン・ド・ヒミコ』が好きで、両作のサウンドトラックCDを日頃から愛聴しているという。2009年の『空気人形』では実際に細野を起用する方向で話が進んでいたらしいのだが、いろいろな事情から実現にはいたっていない。

いっぽうの細野晴臣も是枝作品のファンで、件の『空気人形』は昔住んでいた街がロケで多用されていたこともあって愛着の強い作品だとか。先日、自身のレギュラーFM番組に是枝監督がゲスト出演した際、「実はあの映画の音楽、細野さんに頼みたかったんですよ」と告白され、「それはやりたかった!」と本気で残念がっていたから、本作はお互いにとってまさに待望の共同作業になったと考えていいだろう(後編へ続く…)。

後編「ほとんど枯山水の域! 細野晴臣が『万引き家族』に提供したのは〜」