『オーシャンズ』シリーズや、チェ・ゲバラの半生を描いた『チェ』2部作など、硬軟とりまぜた話題作を次々と生み出しているスティーヴン・ソダーバーグ監督。7月3日から公開される『ガールフレンド・エクスペリエンス』は、ソダーバーグ監督が、1時間2,000ドルの高級エスコート嬢の5日間を追った意欲作だ。
舞台はニューヨーク。自分自身で“ビジネス”を完璧にコントロールする主人公は、客の理想のガールフレンドを演じ、ひとときの恋人気分を男たちに与える。手持ちカメラで撮った映像はリアルな雰囲気を醸し出し、見るものに、まるで主人公の人生の目撃者になったような気分にさせる。
主演女優はサーシャ・グレイ。ポルノ界のスーパースターで、2008年にはポルノ界のオスカーとも呼ばれるAVN(アダルト・ビデオ・ニュース)年間最優秀主演女優賞を最年少で受賞。その活躍はポルノ界にとどまらず、アパレルブランドの広告モデルに起用されたり、人気ドラマ「アントラージュ★オレたちのハリウッド」への出演も決定している。
現在までに180本以上のハードコア・ポルノに出演する一方、自身の製作会社を立ち上げるなど様々な展開を見せる彼女に、映画について、スティーヴン・ソダーバーグ監督について語ってもらった。
──ソダーバーグ監督と初めて会ったときの印象を教えてください。
グレイ:初めて監督と会ったのは、ワーナー・ブラザースのオフィスで。そのときは、この作品について、彼がどういう方向を目指しているのか話し合っただけだったけど、まるで子どもの頃に戻ったみたいに興奮したわ。
──これまで、演技の勉強はどれくらいしたのでしょうか。
グレイ:12歳から18歳まで演技のクラスに通っていたわ。高校を卒業してからは、レストランでバイトしながら、大学で映画の勉強もしていたの。一番影響を受けた演技の先生から、1週間に必ず1本は映画を見るように言われたんだけど、どの映画を見ればいいの分からなかったの。『ストリートファイター』でもいいの?と聞いたら、「それじゃあ演技の勉強にはならない」と言って、見るべき映画のリストをくれたわ。
──劇中のセリフは即興だったそうですが、役作りは大変でしたか?
グレイ:あまりにも情報が少なかったので、役作りはすごく大変だった。夜、ホテルに帰って、10通りくらいの演じ方を準備するんだけど、次の日、撮影現場に行くと、スティーヴンは11通り目の演じ方を提案してくるの。しかも、私が考えもしなかったようなことをね。彼は本当に天才。彼の素晴らしさに、毎日本当に驚かされたわ。
──この映画の後、映画やドラマへの出演が相次いでいますが、今後、どんな映画監督と仕事してみたいですか?
グレイ:一番好きな監督はジャン=リュック・ゴダール。それからジョン・カサヴェテス。でも、ゴダールと仕事したいかは分からないわ。多分、知らないままのほうがいいこともあると思うから。
それから、ジョン・カーペンターにも変な意味で夢中なの。きっと、彼と仕事できたら面白いと思う。それから、デヴィッド・ゴードン・グリーンも好き。
──ポルノ業界に入ったのはなぜですか?
グレイ:自分のセクシャリティをもっと追求してみたいと思ったから。
私は、ヴァージン喪失が友だちのなかでは一番遅かったし、初めてセックスをするまでは、自分のセクシャリティについてまるで自信がなかったの。でも初体験があまりに素晴らしかったから、これを隠す必要なんてない、ポルノ業界でもっと追求しようと思ったの。
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