「誰でもよかった」発言で炎上! 過去悔いる名優の告白に浮かび上がる問題の難しさ

#リアム・ニーソン

リーアム・ニーソン
リーアム・ニーソン

オスカー授賞式も問題発言で
30年ぶりに司会者不在の開催に

リアム・ニーソンが最新主演作『Cold Pursuit(原題)』の宣伝で受けたインタビューでの発言が大問題になっている。

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今回の映画で息子を殺した犯人に復讐する父親を演じたニーソンは、イギリスの「インディペンデント」紙のインタビューで復讐に関する過去の経験を語った。それは40年近く前、友人の女性がレイプ被害に遭ったと知った時のこと。彼女から犯人が黒人だったと聞かされた彼は「こん棒を持って周辺を歩き回った。1週間くらいだっただろうか。パブから黒人野郎が出てきて、言いがかりをつけてくればいいと思いながら。そうすればそいつを殺せるから」と衝撃的な過去の行動を明かし、「この話をするのを本当に恥じている」と付け加えた。

幸い、暴力事件に発展することはなかった。自分の行為について「本当に酷いことだった」と後悔している彼は、紛争の続いていた1950〜70年代の北アイルランドに生まれ育った出自にもふれ、当時の自分の行動から「復讐はさらなる復讐を生み、さらなる殺しを生むだけだ」という教訓を思い出すきっかけになったと語った。

復讐というテーマについて語るために、自ら封印してきた過去を正直に語ったわけだが、後悔しているとはいえ、相手が犯人でなくても「黒人ならば誰でもよかった」と取れる発言には非難が殺到した。

ニーソンは5日(現地時間)にアメリカの情報番組『Good Morning America』に予定通り出演、「私は人種差別主義者ではない」と釈明し、「インディペンデント」紙上での発言の真意について自らの言葉で説明した。

「映画のトピックは復讐についてであり、女性のジャーナリストから役作りをどうしたか尋ねられ、40年近く前のことを思い出したんです」「あんな気持ちになったのは初めてでした。誰かを攻撃したいという衝動です」と率直に語り、この騒動を知った人々に対して「心を開いて、こういうことについて話し合うようになってほしい」と話した。

人気司会者でアフリカ系のロビン・ロバーツが「あなたの発言を聞いて、私たちがどんな思いをしたかを理解してほしい」という言葉に「もちろんです」と答え、「私自身が自分の中にあった憎悪の衝動にショックを受けました」と自らの考えの過ちについて深く恥じ入る態度を見せた。

過去の差別発言の発覚がきっかけとなって、第91回アカデミー賞授賞式の司会を辞退したのはコメディアンのケヴィン・ハート。代役については白紙状態だったが、この度、司会を立てずに授賞式を行うことが明らかになった。

昨年12月5日に司会を務めることが発表になり、本人もSNSで喜びを表明したが、その直後に、過去に同性愛嫌悪についてツイートしていたことが発覚。ハートは2日後に自ら降板を申し出た。

その後、人気トーク番組『エレンの部屋』に出演した際は、ホストでオスカー授賞式司会の経験もあるエレン・でジェネレスが「謝罪もしたし、あなたは成長した。考え直してみては?」と励ましたが、本人の意思は変わらなかった。ケヴィンの降板後、アカデミーは新たな司会候補者探しを続けていたが、結局、今年は司会者なしでの開催が決定した。

司会者不在の授賞式は1989年の第61回に続いて今回が30年ぶり、2度目となる。