「誰もしていない新しいことをやろう!」業界をザワつかせた大胆すぎる挑戦とは?

#ボーイズラブ#映画作りの舞台裏#性の劇薬#石黒健太

「性の劇薬」より
「性の劇薬」より
「性の劇薬」より
フューチャーコミックス代表/石黒健太(いしぐろ・けんた)
コミックス「性の劇薬」表紙

主体的に映画製作に携わったのは、これが初めて
【映画作りの舞台裏】『性の劇薬』石黒健太Pに聞く/前編

“実写映画化される!”というだけで業界を騒然とさせた『性の劇薬』。その理由は、原作が監禁・SM・調教を描きこんだ過激なBLコミックだからだ。しかも、映画化が決定した後にR18+で描くということが発表されて、なおさら注目を集めることとなった。

めちゃくちゃ過激なBLコミックがまさかの実写映画化!

この話題の実写映画『性の劇薬』の原作コミックを配信しているフューチャーコミックスの代表取締役で、映画の製作もつとめる石黒健太氏に、過激なBLコミックをR18+で描くに至った経緯などについて話を聞いた。

もともとは仕事でBLの世界に関わるようになったが、面白さと奥深さにすっかり魅せられたという石黒氏。

「(BLは)女性が女性のために大事に築き上げてきた文化だと思っています。私自身は仕事で携わるようになってBLを読み始めて、今ではプライベートでも読むようになりました。だからと言ってズカズカとこの世界に入っていって軽々しくBLが好きだと言うことは、この世界を知れば知るほどはばかられるというか……。もちろん性別関係なく楽しめるジャンルですが、あくまで私はまだ勉強中で、学ばせてもらっているという感覚。そのスタンスはずっと変わらないものだと思います」と、言葉を選びながら答えてくれた。

常に控えめな石黒氏、過激なBLコミック「性の劇薬」の実写映画化に踏み切ったのは、BLへの熱い思いがあったからだ。

「BLマンガはまだまだ紙の単行本のイメージが強くて、“ボーイズファン”(フューチャーコミックスの電子BLレーベル)はまだファン層にアプローチし切れていないと感じています。才能ある作家さんと良い作品を作っても知って貰えなければ始まりません。そこで電子レーベルでも認知してもらえるように何かできないかと考え、単行本を筆頭にしたメディアミックス化に力を入れ、更には映像化を考えるようになりました。ただ、過去に当社作品のドラマCD化はありますが、私たちが主体となって映像製作に携わるのは初めてです」と石黒氏は言う。

しかし映像化であれば、これほど過激な作品でなくてもいいのでは? たとえば“ボーイズファン”には2大看板作品とも言える人気作品がある。ひとつは「ブサメン男子♂〜イケメン彼氏の作り方〜」で、エロ描写も多いが地味な非モテ男子がイケメン男子たちに溺愛される学園コメディだ。もうひとつは筆者も大好きな「チクBINGO★岸和田、乳首異常に感じるってよ」。乳首が弱いヤンキーの岸和田と幼馴染みでチャラ男の安藤が繰り広げるコメディで、大笑いできるし、タイトルと設定からは考えられないくらいに萌えてキュンキュンする作品だ。

「確かにどちらも大好きで思い入れのある作品ですし、これをアニメ化するという案もありました。ただ、昨今BLコミックのアニメ化がさかんに行われるようになってきている中で、『どうやったらインパクトをだせるか? そもそもうちの会社らしさって何だろう?』と改めて考え、誰もしていない新しいことをやろう!と思ったわけです」(中編へ続く…)

中編「気鋭監督から迫られた“覚悟”」に続く…

[『性の劇薬』作品情報]
公式ツイッター @seino_gekiyaku
公式サイト https://seino-gekiyaku.com
2020年、公開予定