2月9日に投開票が行われる東京都知事選挙。この選挙に小泉純一郎元首相の後押しを受けた細川護煕元首相が立候補することで、選挙の争点に浮かび上がってきたのが“脱原発”だ。そうしたなか、映画配給会社アップリンクが2011年4月に公開し話題を呼んだドキュメンタリー映画『100,000年後の安全』を、イデオロギーの枠を超え、原子力発電所について考える機会としてYouTubeで無料配信すると発表した。
本作は、原発から生まれる高レベル放射性廃棄物の処理をめぐり、未来の地球の安全を問いかける問題作。本作を見た小泉元首相が、劇中に描かれるフィンランドの最終処理場「オンカロ」を実際に視察で訪れ、自らの意見を“脱原発”に転換するきっかけとなった映画としても知られている。
フィンランドは脱原発国ではなく、現在4基の原子炉が操業中で今後2基を建設予定、総発電量のうち原発による電力は約30%という原発に依存している国家の1つ。その一方で、高レベル放射性廃棄物いわゆる“核のゴミ”を出すならその処分まできちんと行おう、トイレのないマンションではなく、マンションにはトイレを作ろうと考え、世界で初めて地下処分場選定が最終決定した国でもある。
この処理場、通称「オンカロ」は2020年に操業予定で、最大9000トンの核のゴミを収容できる。原子炉1基が排出する核のゴミは年間約20トンで、合計6基の原子炉だと50〜60年間分の核のゴミを受け入れられる計算だ。ちなみに日本には50基の原子炉があり、現在すべて運転停止中。また、これまでの核のゴミは地上に保管されているという。
本作の監督マイケル・マドセンは言う。「オンカロの取材をしたとき、学者たちに『高レベル放射線廃棄物処理場が作れない国があるとしたらどこか?』と質問をしました。その答えは日本でした。現在の科学では放射性廃棄物の処理は地層処理しかないと言われていますが、地層処理場ができないのに原子力を持っている国である日本は、火山があり地震があり、常に地層が安定していません」と。
今回、無料配信される『100,000年後の安全』は田口トモロヲがナレーションをつとめた日本語吹替版で、配信期間は2014年1月22日正午12時から2月10日の正午12時まで。配信ページは次のとおりだ(http://www.uplink.co.jp/100000/2014/)。
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