(前編「映画館の高画質&高音質化をリードするドルビーシネマとIMAXの実力を解説」より続く)
【高画質&高音質化の最前線/後編】
「Dolby Cinema(ドルビーシネマ)」と並んで高画質&高音質シアターの代表格となっているのが「IMAX(アイマックス)」。カナダのIMAX社は、映画の“入り口”であるフィルムから“出口”である映写システムまでを一気通貫して手がけることでフィルム時代から知られているが、現在はデジタルの最新オーディオビジュアル技術を採用した「IMAXデジタルシアター」「IMAXレーザー」「IMAXレーザー/GTテクノロジー」といったスペックの異なるさまざまなIMAXシアターを展開している。
すでに国内で35館以上を数えるIMAXシアターの中でも特別な存在感を放っているのが、2019年7月にオープンした東京・池袋の大型シネコン、グランドシネマサンシャイン内の4K IMAXレーザー/GTテクノロジー+12.1chによる旗艦シアターだ。映画館の常設スクリーンとしては国内最大サイズとなる縦18.91m×横25.84mのスクリーンは、IMAX規格の1.43:1というアスペクト比。通常のシネスコサイズよりも上下方向に40%ほど面積が広く、その大きさは驚異的。そこに4Kレーザープロジェクターを2台使った高精細で明るい巨大な映像が投写され、12.1chのサウンドに包囲されるわけだから、おのずと観客は映像と音の渦中に放り込まれたかのような状態を経験することになる。
ドルビーシネマやIMAXのほかにも、「4DXデジタルシアター」や「BESTIA(ベスティア)」「ソニーデジタルシネマ」(現時点で日本には未上陸)など、映画館ならではの付加価値を持ったオーディオビジュアル空間が今後も増えそうな見通しだ。多くの映画をPCやスマホで視聴できてしまうストリーミング時代だからこそ、映画館はプレミアムな存在であり続けなければならない。2020年の映画ウォッチングをより充実したものにするためにも、景気づけにドルビーシネマやIMAXで“映画初め”を決めてみては?(文:伊藤隆剛/音楽&映画ライター)
伊藤 隆剛(いとう りゅうごう)
出版社、広告制作会社を経て、2013年に独立。音楽、映画、オーディオ、デジタルガジェットの話題を中心に、専門誌やオンラインメディアに多数寄稿。取材と構成を担当した澤野由明『澤野工房物語〜下駄屋が始めたジャズ・レーベル、大阪・新世界から世界へ』(DU BOOKS刊)が刊行されたばかり。
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