(…【元ネタ比較】『ヲタ恋』1「原作にもヲタクにも優しい快適エンターテイメント!」より続く)
【元ネタ比較】『ヲタクに恋は難しい』2/3
ミュージカル仕立てとは意外なようでわかりみが深い…
ふじた原作によるpixiv発の大ヒット同名コミックを『銀魂』の福田雄一監督が実写映画化したラブコメディ、『ヲタクに恋は難しい』が公開された。
映画やドラマにヲタクのキャラクターというものはしばしば登場するけれど、記号化されたヲタクが描かれていることも少なくない。一言でヲタクと言っても何のヲタクかによって服の趣味や雰囲気も全然違うけど、世間一般わかりやすいヲタク像にされてしまうことも多いのだ。
でも、この『ヲタクに恋は難しい』はBL同人誌そっくりのプレス資料を見ただけでも、そんな雑な扱いはせずヲタクと真摯に向き合っているのだろうと信頼できた。原作のキモであるヲタクに対して不安感を抱かずに、ストレスなく楽しむことができるのは重要なポイントだ。
実際にも劇中に登場するヲタクたちは記号化されたザ・ヲタクではなかった。漫画ヲタク、ゲームヲタク、アイドルヲタク、コスプレイヤーなどさまざまなタイプのヲタクが登場するがすべてないまぜにすることなく、それぞれがきちんと描かれて、しかも個々の特性がよく出ていて面白かった。
福田監督はヲタクに支持される映画をと目指したらしいが、それがよくわかる。それでいてヲタクじゃない人も理解できて楽しめるラインをわきまえている。絶妙な落としどころだ。
そんなヲタクへの敬意が感じられるからこそ、驚きの大胆な演出も受け入れられたし、それをとても楽しんで見られた。
この作品はミュージカル仕立てなのだ。ドラマが進行してるのにキャラクターたちや通行人たちが急に歌って踊り出す、あのミュージカル。大胆な演出ではあるけれど、不思議と作品のテイストとぴったり合っているように思えた。
2次元ヲタクは3次元のリアルな日常と2次元が地続きだから、監督も言うようにヲタク文化とミュージカルって親和性が高い。しかも、楽曲は『新世紀エヴァンゲリヲン』などで知られる作曲家の鷲巣詩郎が手がけているんだから合わないわけがない。
キャラクターだけでしっとり見せたりモブのダンスシーンで見せたり、緩急もあってワクワクできる。原作とのノリも合っていると思う。ギャグ満載でテンションが高いかと思えば冷静なツッコミも入って、まさに原作も緩急の落差が激しいのだ。
ヒロインの成海を演じるのはミュージカル畑出身の高畑充希だから、堂々たるもの。どんな場面で何度聞いてもびっくりするぐらい歌が上手いし、ダンスも危なげなく安心して見ていられる。キャラクターとしても、小動物っぽい高畑はちょこまかよく動いて喜怒哀楽激しい成海のイメージに合ってて良かった。相手役の宏嵩演じる山崎賢人はどうかというと……。(3へ続く…)
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