直木賞作家・角田光代の初の長編サスペンス小説「八日目の蝉」は、不実な男を愛して子を宿すものの、母となることが許されなかった野々宮希和子が、その男と妻との間に生まれた赤ん坊を誘拐。4年間に渡って育てるという物語を軸にしたストーリー。この小説がNHKでのドラマ化に続き映画化され、その完成会見が2月28日にウェスティンホテル東京で開かれた。
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登壇したのはキャストの井上真央、永作博美、小池栄子、森口瑤子と、原作者の角田光代、成島出監督の6人。冒頭の挨拶で「映画化の話ってたいてい、途中でポシャるので、今回も実現しないんじゃないかと思っていたが、素晴らしい映画にしていただいてすごく嬉しい」と語った角田は、「映画は小説とまったく別物。このシーンは小説にあったとか、小説と比べながら最初の15分くらいは見ていたが、途中から小説のことなんてすっかり忘れ、のめり込むように見て、次の日は目が半分くらいになるくらい泣きました」とコメントしていた。
子どもを誘拐する希和子役を演じた永作は「撮影中はとにかく迷宮でした。そのなかを、見えるのか見えないのかわからない一筋の光に向かって、どうにか進んでいったような撮影でした」と役の難しさに言及。
永作演じる希和子に誘拐され、その後、大人になる恵理菜役を演じた井上は、「監督をはじめ、この作品を愛している方が非常に多く、そのなかで重要な役をやらせていただくことに日々責任を感じていました」とプレッシャーを告白。また、永作とは撮影現場で会う機会がまったくなかったそうで、「どのようなお芝居をされているのかがわからなかった」と苦労を語ると「ここまで悩みながら役と向き合えたことは、とても良い経験になったと思う。終わったときは、ようやく解放されるんだと正直思いました(笑)」と話していた。
一方、井上演じる恵理菜を追うルポライターの千草を演じた小池は、演じた役について「難しくて、監督の求める要求も非常に高かったで、ついていくのに必死。無我夢中で演じた」と当時の心境を吐露。「私が演じる千草は『七日目で死ぬはずの蝉が八日目を生きたら何が見えるのか』と、タイトルの意味である大事なセリフを言う。その部分ではとても緊張した。八日目まで生きることが幸せなのか不幸なのかは、とても大きなテーマ。私は演じてみて、八日目まで生きてほかの人には見えない経験ができるということはとても素晴らしいことじゃないかなと思いました」と語っていた。
自分が産んだ子を誘拐される母親を演じた森口も「みなさん仰っていたように、ひと言で言ってしまえば難しかった。小池さんも監督についていくだけで精一杯だったと仰っていたが、私も監督に導いていただいたことばかりで感謝しています」と振り返っていた。
また、これが出産後、初めての仕事となった永作は、「本当に良かったと思うのが、私が子どもの扱いを多少なりとも知っていたこと。赤ちゃんのシーンが多いので、赤ちゃんの扱いがまったくわからなかったら、今回の作品とは別物になった気がします」と、母となったことで自然体の演技ができたことを話し、本作出演を決めた経緯については「台本を読ませていただいたときに、避けては通れない役のような気がした。正直、(本作の撮影スケジュールは)休むつもりで開けていたところだったので、幸か不幸か時間があった。ハードルが高いなと思いながらも、思い切って受けさせてもらいました」と話していた。
『八日目の蝉』は4月29日より全国公開となる。
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