まえだまえだと出会って前向きになれた。『奇跡』是枝監督がティーチインで告白
是枝裕和監督が6月18日にシネマライズで、公開中の作品『奇跡』のティーチインを行った。
・[動画]『奇跡』完成披露会見/まえだまえだ、樹木希林、内田伽羅ほか
世界的にも高い評価を受ける監督から直接話が聞けるとあって、会場には熱心な映画ファンが大勢つめかけ、なかには留学生らしき外国人の姿も。皆、監督の言葉に熱心に耳を傾けていた。
これまで寂しげな作品の多かった是枝監督。「見た後に明るい気持ちになった」という声に監督は「『明るいものを』というのは、最初に考えていました。スタート時点では自分自身の調子も良くなくて、元気になりたいと思っていたんです。だから、見終わった後にほっこりした気持ちになるような作品を作りたいと思っていました。また、(主演の)まえだまえだの2人に会ったことで、前向きにやっていこうと思えたんです。あの2人を見ていると元気になるので、その影響が大きいですね」と、前田兄弟の存在に助けられたことを明かしていた。
また、一番列車同士がすれ違う瞬間に子どもたちが口々に願いを叫ぶクライマックスシーンにについて、主人公の航一の声が聞こえなかったという質問には、「あそこは、わざと聞こえないようにしています。(冒険旅行から)戻ってきて、お父さんとのやりとりのなかで何を願ったのか分かるようにしています」と答えていた。
子どもの描き方に定評のある是枝監督だが、今回はとくにその素晴らしさが際立っている。観客から「子どもたちの会話に入り込んでしまった感じでした」と言われた監督は、「前は、(映像のなかで)そんなに子どもと関わらなくていいと思っていました。“関わることが愛”みたいなのがちょっとイヤだなと思っていたのですが、最近は、子どもたちとの距離は少し近いのかな。だけど、僕の好きな映画は、子どもは子どもでほったらかしにされているものが多いですね。大人は大人の時間を精一杯生きているので、そういったことで互いに隙間が生まれて、子どもたちが冒険に出たりするんです」と説明。
また、子どもたちの願いがテーマとなった本作に絡め「監督の願いは?」と聞かれると、「子どもの頃は卒業アルバムにプロ野球選手になりたいと書いていたけれど、なれないと分かって書いていましたね。今の願いはなんだろうな、毎日食べるご飯が美味しいとか、1日1日のささやかなことですね。そういったものが大切だと思っています」と話していた。
是枝監督のティーチインは今後も開催予定。6月26日は立川シネマシティ、UC浦和、シネリーブル池袋で、7月3日は吉祥寺バウスシアターで行われる。その他のスケジュールについては公式サイト(http://kiseki.gaga.ne.jp/ )で随時、告知されるという。
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