映画会社が閉鎖となり、一時は映画公開の危機に陥ったことさえある『スラムドッグ$ミリオネア』。予算規模も極めて小さく、舞台はインドのスラム街。しかも、スターが1人も出ていないどころか、メインキャストは無名のインド人ばかり。どんなに秀作でも、およそ話題になりにくいタイプの映画だが、全米で絶賛され、予想を覆す大ヒット。さらには、ゴールデングローブ賞最優秀作品賞(ドラマ部門)受賞を始め、全世界で76もの映画賞を受賞(09年2月18日現在)。2月23日に授賞式が開催されるアカデミー賞の最有力候補とまで言われている。この奇跡的な傑作を監督したのは、『トレスポ』のダニー・ボイル。“運命”のアカデミー賞授賞式を前に来日し、18日に都内で記者会見を行った。
映画のテーマは運命。意外にも、監督自身は運命についてあまり信じていなかったという。だが、準備や撮影のためにインドを訪れ、考えが変わった。「インドで、運命とは今まで考えていた以上に複雑で深遠なものだと体感しました」と話す監督。一時は公開すらあやぶまれた作品が、このような大成功を遂げたことに運命を感じるとも。「一時は(公開せず)DVD映画になるとも言われたのですが、お金の力を借りずに、20世紀サーチライトが手をさしのべてくれることに。そんな経緯も運命としか言いようがなく、運命の女神に力を授かったような気がしました」。
そして気になるのが、間近に迫ったアカデミー賞の結果。監督自身は、ノミネートについてどう感じているのだろう。
「映画賞の賞レースは、『スラムドッグ$ミリオネア』のような映画が大ヒットするのに重要です。大スターも出てこないし、1/3はヒンズー語なので、英語圏で字幕の苦手な人にとっては見に行きにくい映画ですが、(賞レースによって)注目してもらえます。賞レースがあることで、ちょっと変わったタイプの映画が作られたりするし、俳優がリスキーな役に挑むきっかけにもなるので、いいことだと思います」と、映画賞の効能について回答。だが一方で、こんな現象も起きているという。「アカデミー賞にノミネートされたことで、名前が変わってしまったんです! 今までは単なるダニー・ボイルと呼ばれていたのに、今や“オスカー候補のダニー・ボイル”となり、子どもたちからは“オスカー候補のパパ”と呼ばれています(笑)」。
映画の大きなモチーフがテレビ番組「クイズ$ミリオネア」。極貧の主人公が、あと1問で番組史上最高額獲得となることから物語が展開していくのだが、会見の後半、日本版「クイズ$ミリオネア」で司会を務めているみのもんたも応援に駆けつけた。
「(映画の中に登場するのは)悪い司会者なんですよ! 日本の司会は違うと言いに来ました」というみの。アカデミー賞の“必勝”を願い、ダニー・ボイル監督と「カツ(勝つ)カレー」を食べ、監督にエールを贈っていた。カツカレーは初体験だった監督だが、「とっても美味しい!」かなり気に入った様子で、何度も口に運んでいた。気になるオスカー受賞については、「期待しています。(カツカレーを食べて)調子が出てきたので、これで勝てるかも」と笑顔を浮かべた。
『スラムドッグ$ミリオネア』は、4月よりTOHOシネマズ シャンテほかにて全国順次公開される。
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