第68回ヴェネチア国際映画祭が10日に閉幕、コンペティション部門で園子温監督『ヒミズ』の染谷将太と二階堂ふみが優秀新人俳優賞にあたるマルチェロ・マストロヤンニ賞をダブル受賞した。同賞の受賞は日本人で初めて。6日の公式上映に出席後、すでに帰国していた2人に代わって壇上に立った園監督は「ボナセーラ(こんばんは)。サンキュー。この映画を世界中の若い人に捧げます」とスピーチした。
『ヒミズ』は「行け!稲中卓球部」の古谷実の原作を基に舞台を東日本大震災後の日本に変更、被災地の宮城県石巻市でロケを行ない、虐待を受け、罪を犯した中学生の少年と彼を救おうとする少女の物語。2012年春に日本公開を予定している。
最高賞にあたる金獅子賞はロシアのアレクサンドル・ソクーロフ監督の『ファウスト』。ゲーテの「ファウスト」を基にソクーロフ監督が権力の腐敗を描き続けた4部作の最後を飾る作品となる。
下馬評で高評だったロマン・ポランスキー監督、ジョディ・フォスター主演の『Carnage(原題)』や、ジョージ・クルーニー監督・出演、ライアン・ゴズリング主演の『The Ides of March(原題)』をはじめ、話題作がひしめくコンペ部門。上映後は賛否両論に分かれた『ファウスト』だったが、審査員長のダーレン・アロノフスキー監督(『ブラック・スワン』)は「夢を見させる映画、泣かせる映画、笑わせる映画があれば、見ただけで人生が変わってしまう映画もあります。これはそういう作品です」と授賞理由を語った。
銀獅子賞(優秀監督賞)は中国・香港の『人山人海(原題)』の蔡尚君監督。映画祭開幕後にサプライズ上映が公表された作品は、弟を殺した犯人を追い続けて旅を続ける兄がやがて非合法の炭坑にたどり着くという物語。中国国内の検閲を受けずに製作されたため、上映日までタイトルも含めて詳細はベールに包まれていた。
審査員特別賞はイタリアのエマヌエレ・クリアレーゼ監督の『Terraferma(原題)』。伝統と現代化の狭間で葛藤するシチリア島の人々を描く。
優秀男優賞はイギリスのスティーヴ・マックイーン監督の『Shame(原題)』でセックス依存症の男を演じたマイケル・ファスべンダー。優秀女優賞は中国・香港のベテラン女性監督、アン・ホイの新作『Simple Life(原題)』で脳梗塞で倒れた年老いたメイドを演じたディニー・イップに輝いた。
優秀技術賞は「嵐が丘」をアンドレア・アルノルド監督が映画化した『Wethering Heights(原題)』の撮影を手がけたロビン・ライアンが受賞。金のオゼッラ賞(優秀脚本賞)は、依頼を受けて看護師や救急救命士などを故人の葬儀に出席させるサービスを提供する会社を描くギリシャの『Alpes(原題)』のヨルゴス・ランティモス&エフティミス・フィリップーが受賞した。
また、先鋭的な作品がそろうオリゾンティ部門では最高賞のオリゾンティ賞を塚本晋也監督、Cocco初主演作の『KOTOKO』が受賞した。
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