第62回ベルリン国際映画祭が18日に閉幕、イタリアのパオロ&ヴィットリオ・タヴィアーニ兄弟の『Cesare deve morire(原題)』がコンペティション部門最高賞にあたる金熊賞を受賞、日本の和田淳監督がフランス資本で撮ったアニメーション『Great Rabbit(英題)』が短編部門銀熊賞(最高賞に次ぐ賞で審査員賞にあたる)に輝いた。
『Cesare deve morire』はローマの牢獄を舞台に、マフィアや凶悪犯の囚人たちがシェイクスピア劇「ジュリアス・シーザー」を上演する過程を追ったセミ・ドキュメンタリー作。地元ドイツの『Barbara(原題)』やミゲル・ゴメス監督の『Tabu(原題)』など、金熊賞を有力視されていた作品を抑えての受賞に、現地では驚きの声もあがった。
80歳のパオロは「美しく、シンプルなシェイクスピアのセリフに感謝を捧げます。このセリフの数々が囚人たちを“生”に立ち返らせてくれました」とスピーチし、82歳のヴィットリオは審査員長のマイク・リー監督から表彰される際、映画に出演した囚人たちの名前を読み上げた。
神戸出身の和田監督の『Great Rabbit』は、シャープペンシルで描く繊細なタッチと淡い色彩による幻想的なスタイルが話題を呼んだ。銀熊賞最優秀女優賞を受賞したのはカナダ映画『Rebelle(原題)』に出演したアフリカのコンゴ共和国出身の14歳、レイチェル・ムワンザ。
13歳以下向け映画を対象にしたジェネレーションKプラス部門では、今泉かおり監督の『聴こえてる、ふりをしただけ』が子ども審査員特別賞を受賞。14〜17歳向け映画部門では平林勇監督の短編『663114』が特別表彰された。前者は看護師で2児の母である監督が、育児休暇中に撮った長編で、突然母親を亡くした小学生の少女が向き合う喪失感や厳しい現実を描く。後者は東日本大震災後のフクシマの未来を描く。
日本映画ではこのほか、フォーラム部門に出品された『かぞくのくに』(ヤン・ヨンヒ監督。安藤サクラ、井浦新主演)が国際アートシアター賞連盟賞を受賞した。北朝鮮への帰国事業で祖国に戻った兄が一時的に戻った日本で25年ぶりに妹と再会する物語で、在日朝鮮人2世のヤン監督の体験がもとになっている。
主な受賞作、受賞者は以下のとおり。
■金熊賞
『Cesare deve morire(原題)』 パオロ&ヴィットリオ・タヴィアーニ監督
■銀熊賞(審査員賞)
『Just The Wind(英題)』 ベンス・フリーガウフ監督/ハンガリー、ドイツ、フランス
■銀熊賞−最優秀監督賞
クリスティアン・ぺツォルト監督 『Barbara(原題)』/ドイツ
■銀熊賞−最優秀女優賞
レイチェル・ムワンザ 『Rebelle(原題)』/カナダ
■銀熊賞−最優秀男優賞
ミケル・ボー・フォースガード 『A Royal Affair(英題)』/デンマーク、チェコ、ドイツ、スウェーデン
■銀熊賞−最優秀脚本賞
ニコライ・アーセル、ラスマス・ヘイスターバング 『A Royal Affair(英題)』
■アルフレート・バウアー賞
『Tabu(原題)』 ミゲル・ゴメス監督/ポルトガル、ドイツ、ブラジル、フランス
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