平成の原節子!? 山田洋次監督最新作に出演の蒼井優が「寛大な心で受け止めて」

前列左から妻夫木聡、吉行和子、山田洋次監督、橋爪功、蒼井優。後列左から林家正蔵、中嶋朋子、夏川結衣、西村雅彦
前列左から妻夫木聡、吉行和子、山田洋次監督、橋爪功、蒼井優。後列左から林家正蔵、中嶋朋子、夏川結衣、西村雅彦

監督生活50周年を迎えた山田洋次の81本目となる監督作『東京家族』。この映画の製作報告会見が5月30日に東宝スタジオで行われ、山田監督をはじめ、橋爪功、吉行和子、西村雅彦、夏川結衣、中嶋朋子、林家正蔵、妻夫木聡、蒼井優の計9名が出席した。

[動画]『東京家族』製作報告会見

同作は昨年12月に公開予定だったが、クランクイン直前に東日本大震災が起こったことから製作を延期。山田監督は何日間も悩んだ末、脚本を全面的に見直し、改めて今年3月1日にクランクイン。東宝スタジオをはじめ、都内近郊や広島大崎上島で撮影を行ってきた。

山田監督は「今日はとても嬉しい日。撮影がもう少しで終わりというところで初めて家族みんなが勢揃いした日です。みんな本当に仲が良く、家族としての連帯感や情愛を抱きながら3ヵ月間撮影してきました。昨年の3月11日に延期が決まって、不安や焦りを抱き続けながら今日に至りましたが、今になって、それで良かった、正しかったと思っています」と挨拶した。

小津安二郎の名作『東京物語』を下敷きにした作品だが、製作意図を問われた山田監督は「若い頃は小津作品をナンセンスだと思っていたが、だんだん小津さんのすごさを分かるようになってきました」と大先輩への敬意を語った。同作の骨格は以前よりできていたそうで「両親が大都会に出てきて、そこで生活する子どもたちに会って少しだけ失望して帰るというストーリーは繰り返し作っていいのではないかと思っていた。この作品は、人間のおかしさと哀しさを描いているので、“人間喜劇”という冠をつけてもいい作品だと思います」と説明した。

主演の橋爪は、個性的なキャストについて聞かれ「良くも悪くも個性的で全員ばらばら」と笑い、「山田監督が『次回作はこのままのメンバーで、爆笑家族、崩壊家族、脱線家族というのを作ろう』という話を嬉しそうになさっていました。ただ、ばらばらなんだけど、また会いたいなと思える方々」と話していた。

蒼井は自らの役について「いけしゃあしゃあと原節子さんが演じた役をやらせていただいています。寛大な心で受け止めていただけたら」と笑いを取る一方、「日本映画界に残る、とても重い役を演じさせていただきました。撮影に入るときに監督から『人が生きていくというのは、感じることだ』と教えていただきました。私には大きすぎる役ですが、撮影は明日までなので、1カット1カット丁寧に積み重ねていければ」と真摯に語った。

一方、山田監督から「君の役は女房の尻に敷かれる役だから、そのままで演じてくれたら大丈夫」と太鼓判を押されたという林家は、「食べるシーンが多くて、らっきょうを食べるシーンでは170粒食べさせていただきました。足りなくなってスタッフがスーパーに買いに走ってくださったのですが、結局そのシーンはNGで使われなくなりました」と苦笑いを浮かべた。

山田組初参加を喜んでいたのは妻夫木。「山田さんをひと言で言ったら厳しい監督ですが、その厳しさというのは作品に対しても役者に対しても確実に的確。すべてが自分のためになるし作品のためになる」と絶賛した。

また、吉行は「どんな年代の方がご覧になっても、自分のことを重ねられる作品」と語ると、「若いカップルだったら、ますます愛が深まるでしょうし、歳をとった夫婦なら仲良くしないとダメだなと思えるでしょうし、いろいろな方々が感動できる作品」と話していた。

『東京家族』は2013年1月より全国公開される。

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『東京家族』作品紹介