6月20日から公開となる『劔岳 点の記』の完成披露試写会が、1日夜に東京国際フォーラムで行われ、監督、キャストが舞台挨拶を行った。
明治時代、日本地図を完成させるため、険しい山での危険な測量に挑んだ男たちの姿を描いた作品で、劔岳・立山連峰での2年間に渡る撮影は、かなりハードなものだったという。命をかけて難事業に挑み、測量隊を率いる主人公を演じた浅野忠信は、「(2007年の)第1次ロケーションでは、雪が積もった険しい池ノ平を9時間歩いたことがありましたが、その日はさすがにつらかったです」と苦難の撮影を振り返った。
スタッフも俳優も、それぞれの持ち物は自分で持ち、毎日何時間も山を歩き、ロケ地まで移動したという。だが、「時間が経ってみると、本当に幸せな時間だったと思います」と香川照之。松田龍平も「つらければつらい程、冷えた弁当が美味しかったり、ささいなことが本当に幸せだと気づくことができて良かった」と、苦しくも実り多い時間だったと語った。
岡本喜八や深作欣二ら巨匠監督たちと仕事をしてきた69歳の名カメラマンの木村大作が、初監督を務めた本作。よりよい映像のためにはどんな困難も厭わなかった映画の鬼の木村監督。厳しい姿勢で撮影に臨んだそうだが、紅一点とも言うべき存在の宮崎あおいにだけはとても優しかったという。
「木村監督はすっごく優しくて、格好良くて。私の手元を撮影しているときの横顔が、本当に格好良くて。今でも忘れられないです」と宮崎。そのコメントについての感想を求められた木村監督は、真っ赤になりながら「宮崎さんは人の話を聞くときに、ジーッとつぶらな瞳で見るんです。その目で見られるとドキドキしちゃうんで、あまり見つめないでくださいと言った覚えがあります」と返答。すると浅野が、「監督は宮崎さんがアップの日にヒゲを剃ってきました。普段、山ではヒゲぼうぼうで、身だしなみなんかどうでもいいって感じだったんですけど」と笑いながら暴露していた。
そんな木村監督の多少のオシャレ心と、映画への熱い思いが詰まった『劔岳』について香川は、「スタッフ、キャストの努力が報われるよう、1人でも多くの人に見てもらいたいと切に願っています」と力強く語っていた。
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