第69回ヴェネチア国際映画祭コンペティション部門に邦画として唯一出品されていた北野武監督の最新作『アウトレイジ ビヨンド』が、現地時間9月3日夕方に公式上映された。北野監督も出席した満席の会場では、上映後に観客が総立ちに。「ブラボー!」の声と共にスタンディングオベーションとなり、北野監督も笑顔を浮かべていた。
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上映に先駆け、同日の昼(現地時間)からは記者会見も行われ各国の記者たちがつめかけた。同作は東日本大震災の影響で撮影が1年延期されたが、そのことについて聞かれた北野監督は「震災後の1年間は、怒りを感じている部分があった。世の中、絆・愛・支えとか、表面的なものばかりでイライラした。こういうときこそヤクザ映画を撮ってやろうとやる気が起きた」と、怒りが創作欲を刺激したことを打ち明けた。
また、演出意図については「今回はエンターテインメントだと割り切って、自分なりにそれを追求した。そうすると、家庭、女、女房、子どもとかは排除する結果になり、バカな男の話になった。かなり割り切った作り方をしたが、エンターテインメント性を追求するとこんな感じになる」と説明。さらに前作『アウトレイジ』と本作について「自分が撮りたい映画というよりも、観客のことを考えて作った」と、人々のニーズをふまえたことを強調。一方で、「けれど、いつでもお客さんの入らない映画を作る準備もしているよ」と話し会場を爆笑させた。
同作で極悪非道な男たちの世界を描いたことについては「イタリアにもマフィアがいることは聞いている。イタリアも日本もほとんど同じだと思う。警察・ヤクザの関係は世界共通ではないか。日本でも警察の不祥事が多く、何をやっているんだと思う」と社会への怒りを交えて語った。
上映の前にはレッドカーペットセレモニーも行われ、北野監督が姿を現すと「TAKESHI!」という声も挙がり、世界的な人気ぶりを伺わせていた。
『アウトレイジ ビヨンド』は10月6日より新宿バルト9ほかにて全国公開される。
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