好き勝手に生きてきた28歳の青年と、病院で暮らしてきたために外の世界を知らず、海も見たことのない14歳の少女。病気のために余命あとわずかと宣告された2人が、海を目指す道程を描いた『ヘブンズ・ドア』。1997年にドイツで大ヒットした『ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア』をベースにした作品で、年齢や性別を越えた深い絆が心を打つ青春ロードムービーだ。監督は、アニメーション映画『鉄コン筋クリート』(06)で高い評価を得たマイケル・アリアス。VFXスタッフとしてハリウッドでも活躍してきた彼に、映画について聞いた。
──実写映画を撮ってみたいという監督の夢が実現した作品ということですが、なぜ実写映画を撮ってみたいと思ったのでしょうか?
マイケル・アリアス(以下、アリアス):僕は絵描きでもアニメーターでもないので、逆に、なぜ最初がアニメーションだったかという感じなんです(笑)。
──アニメーションと実写映画を両方作ってみて、どこがどう違うと感じましたか?
アリアス:例えば家を撮る場合、アニメーションならその家をゼロから作らないといけない。でも、実写だとそういう家があったりする。自然が用意してくれるのでラクな部分もありますね(笑)。アニメーションだと、全てを作らないといけないので、全部の絵が意図的です。アニメと実写は「兄弟」みたいな感じかな。
──今回、リメイク作品を監督した感想は?
アリアス:(笑)リメイクは難しい! これはプロデューサーから話をいただいた企画なので、もとの映画を見たことがありませんでした。なので1回だけ見たのですが、その後はあえて(繰り返しては)見ませんでした。もし強い思い入れのある作品だと、逆にリメイクなんてできないと思いましたね(笑)。
──長瀬智也さんとお仕事した感想は? また、どんな風に演出していったのでしょうか?
アリアス:自然体な人ですよね。それから悪ガキっぽいところがあって、役に近い(笑)。そこが魅力でもありますね。演出は、基本的に野放しにしているつもりなんだけど……(笑)。最初に何度か会った時に、キャラクター像を話し合ったくらいです。
──撮影時にはまだ中学生だった福田麻由子さんについてはいかがですか?
アリアス:たまに中学生だって忘れるくらい大人というか、しっかりしている。台本の読み込み方や撮影に入るときのテンションなど、すごいと思います。
──VFXスタッフとしてもご活躍され、ジェームズ・キャメロン、コーエン兄弟、スパイク・リー、デヴィッド・クローネンバーグなどそうそうたる監督とお仕事していますが、彼らから学んだことはありますか?
アリアス:みなさん、すごく人間らしい方ばかり。技術的なことというよりも、創造への情熱、遊び感覚でものを作るということなどを見習っているつもりです。
──その中で、一番影響を受けた監督は?
アリアス:ジェームズ・キャメロン監督ですね。最初から最後まで関わったのは彼の『アビス』(89)が最初だったので。
──映画の中の2人は、人生最後にして最高のエンディングのために海を目指しますが、監督の理想の「人生のエンディング」は?
アリアス:映画を見ながらじゃないんですか(笑)。その時の1本は……なんだろう……気分によると思うけれど、ひょっとして『ダンボ』だったりするかもしれませんね。『ダンボ』、好きなんですよ。
──その他では、どんな映画がお好きなんですか?
アリアス:SF! SFとしてというより映画として好きなのが『2001年宇宙の旅』、フランスとチェコの合作アニメ『ファンタスティック・プラネット』とか『ブレードランナー』。基本的に暗いのが好きなんです。この間、韓国映画の『チェイサー』を見たんですけど、むちゃくちゃ暗くて、あそこまで救いのない話って、もう大好き! 格好いいなぁ、と(笑)。ぜひ救いのない話を監督したいですね。僕は、ハッピーエンドじゃないんでしょうね。
『ヘブンズドア』(出演:長瀬智也、福田麻由子ほか)
7月15日 DVD、ブルーレイ リリース
初回限定2枚組プレミアムBOX ¥6,825/スタンダード・エディション ¥3,990/ブルーレイ ¥5,985
発売元:アスミック/販売元:ポニーキャニオン
(C)2009アスミック・エース エンタテインメント/フジテレビジョン/ジェイストーム
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