子どもを連れて実家に戻った31歳の女性が、お弁当屋開業で再スタートをはかる姿を描いた『のんちゃんのり弁』。この映画の初日舞台挨拶が9月26日に有楽町スバル座で行われ、緒方明監督、小西真奈美、岡田義徳、佐々木りお、山口紗弥加らが登壇した。
主演の小西は「今日をもって自分の手から離れていく。我が子のようで、ちょっと切なくもなります」と“親心”をのぞかせた。また、ダメ亭主に愛想を尽かし家を出るという自身の演じた役に引っかけ「面白いと思っていただけたら、2回3回と足を運んでください。元旦那さんとか元彼氏とかを誘って、よりを戻すきっかけに」と話し、笑いを誘う。
そのダメ亭主を演じた岡田の悩みは、娘役を演じたりおとの接し方。「最初はりおちゃんが、ぼくが触るだけで泣いちゃって」と打ち明けると、撮影時より少し大人になったりおは「ごめんなさい」と謝っていた。
そうした中、緒方監督に「青山とか銀座にいそうな感じ。でも、それはやめて、錦糸町とか新小岩っぽくしてもらった。安い女にしたかった」と言われたのは山口。品のある女性から一転、下町っぽく変身するため、山口は実際に映画の舞台となった墨田区京島にあるキラキラ通りに足を運びリサーチしたという。
その山口が明かしたのが、緒方監督の鬼監督ぶり。「私、本当に、この仕事を辞めようかと思ったくらい、泣いて暮らしていました」と撮影を振り返る。すると緒方監督が「そお? でも今日も『楽しかった、ハートマーク』っていうメールくれたじゃない」と笑顔で応じ、山口は「あれは強がりです。精一杯の」と返していた。
また、お弁当屋さんのシーンでは、ご飯を炊くカットも大変だったようだ。仕事用の大きな窯で炊くため時間もかかり、「蓋を開けてかきまぜるときも、湯気が多すぎても少なすぎてもダメ。かき混ぜ方も責任重大」と緒方監督。小西も「そうなんです」と頷くと、「30分くらい待って、よしと思ったのに、私のひとかきで『はいカット、もう1回』ってなると、みんな後30分かよって感じになる」と「ご飯待ち」がプレッシャーだったことを告白。緒方監督も「誰も小西さんを責めませんが、イヤな空気が漂いますよね。『いいですよ、いいですよ』と言いながら、誰も目が笑っていないみたいな」と話し、山口の言うとおり、鬼監督であったことを匂わせていた。
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