『大統領の執事の涙』ダニエルズ監督、「NO」と言われ続けてきた映画作りを語った
ケネディ、ニクソン、レーガン……ホワイトハウスで7人の大統領に仕えた黒人執事の半生と激動のアメリカ史を重ね合わせ描いた人間ドラマ『大統領の執事の涙』。この作品を手がけたリー・ダニエルズ監督が来日し、2月5日に都内で行われた試写会にサプライズ登場、舞台挨拶を行った。
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ダニエルズ監督の初プロデュース作品はハル・ベリーが黒人女性として初のアカデミー賞主演女優賞を受賞した『チョコレート』(01年)。また、監督2作目となる『プレシャス』(09年)ではアカデミー賞監督賞にノミネートされている注目監督だ。
まずは覚えたての日本語で「日本に来られて嬉しいです」と挨拶したダニエルズ監督。今回が初来日だが、知人でもあるウェズリー・スナイプス、ウィル・スミスらが「日本の文化は素晴らしい」と言っていたと明かしてから、「彼らから事前に(日本の)情報を教えてもらってます(笑)。日本の文化を吸収して帰りたい」と続けた。
3週連続全米1位を獲得し、評論家からも高い評価を集めている本作。監督は、92歳になる親類男性の感想に触れ、「彼はアフリカ系アメリカ人として初めて小児科医になった男で、当時、黒人は医学部に進めなかったのでドイツに渡って医学を学び、その後アメリカに戻って多くの子どもたちの命を救ってきました。そんな彼が映画を見て『君は私の人生を綴り、アメリカの物語を描き、そして普遍的な全ての人々に通じる話を作ってくれた』と言ってくれたんです。この映画は私にとっても非常にパーソナルな物語。こうしてみなさんに見ていただけるのが嬉しい」と語った。
製作時は資金集めに苦労したそうだが、公開後は世界興収2億ドル超を記録。「これまでの人生、キャリアを通じて『NO』と言われ続けてきましたが、今回もハリウッドでこの映画を作ろうとしたとき、名だたるスタジオが製作を見送り、外国や一般の方々から出資を募りました。当初『こんな作品は誰も見ない』と言われましたが、そうした言葉はここに集まったみなさんの知性をバカにするものであり、2億ドルという結果は、こうした作品がいかにみなさんに受け入れられるかを証明するものだと思います」と力説していた。
本作はアメリカ大使館の正式後援を得ており、この日は大使館からリチャード・メイ文化・交流担当官も来場。劇中で描かれる公民権運動の高まりに触れ「全てのアメリカ人にとって非常な重要な時代を映し出しています。この公民権運動が、ラテン系アメリカ人、アジア系アメリカ人、そして、その後のゲイ・レズビアンの人々の人権運動へと繋がっていきました」と説明。「映画を楽しんでいただくと同時に、こうした歴史に触れる機会として捉えていただければ」と呼びかけた。
『大統領の執事の涙』は2月15日より全国公開される。
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