【興行トレンド】ハリウッド夏の激戦は5月にスタート! 公開日を巡り熾烈な駆け引きも

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アメリカで大ヒット中の『アメイジング・スパイダーマン2』
(C) 2013 CTMG. All Rights Reserved.
アメリカで大ヒット中の『アメイジング・スパイダーマン2』
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日本ではこれから夏映画の本番を迎えるが、アメリカでは早くも激戦がスタートしている。1年の売り上げの4割を稼ぎ出すことからハリウッドが最も力を入れるアメリカの夏映画興行の仕組みを解説する。

【興行トレンド】自社製作と他社製作が入り乱れ、今年も続々公開のアメコミヒーローもの

アメリカの夏映画興行は5月初旬に始まり、祝祭日である9月第1月曜日「労働祭」(レイバーデイ)までの長丁場となる。日本の夏興行が7月から8月までなのとは対照的だ。というのもアメリカは夏休みが長いから。場所によって異なるが、5月中旬〜6月中旬にかけてスタートし、8月中旬〜8月中旬までの3ヵ月間にわたる。これに合わせ、若い男性客を狙ったアメコミヒーロー映画やアクション映画、家族客を狙ったアニメーション映画など、各映画会社が自信の大作映画を相次いで公開する。

特に夏興行で「本命」といわれる大作は、5月初旬、5月最終月曜日の「戦没将兵追悼記念日」(メモリアル・デイ)にかけての週末、7月4日の「独立記念日」(インディペンデンス・デイ)かけての週末に公開される。例えば昨年は、5月2日に『アイアンマン3』(興収4億900万ドル)、5月24日に『ワイルド・スピード EURO MISSION』(2億3900万ドル)、7月3日に『怪盗グルーのミニオン危機一発』(3億6800万ドル)が公開され、(順に)年間興収1位、6位、2位の大ヒットを記録している。今年は5月2日に『アメイジング・スパイダーマン2』が公開されてヒットしており、23日に『X-MEN:フューチャー&パスト』、6月27日に『トランスフォーマー/ロストエイジ』が公開される。

元々夏の大作映画は、5月のメモリアル・デイと7月のインディペンデンス・デイを中心に公開されてきた。祝日によって3連休以上となり、大勢の家族客が見込めるからだ。ところが、1999年、5月のメモリアル・デイ(最終月曜日)に『スター・ウォーズ エピソード1』が公開されたことから、これを避けて「5月初旬の金曜日」に前倒して公開した『ハムナプトラ/失われた砂漠の都』が大ヒット。さらに2002年には、5月のメモリアル・デイに『スター・ウォーズ エピソード2』が公開されたことから、5月初旬に前倒した『スパイダーマン』が、『エピソード2』を上回る大ヒット。「5月初旬の金曜日」にも大作が公開される慣習が定着した。

各映画会社はこの「大作公開日」をめぐって駆け引きを繰り広げる。公開日の設定は「早く発表した者勝ち」で、既に2016年まで発表されている。

<2015年夏に公開される作品と公開日>
5月1日『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』
5月22日『トゥモローランド』
7月1日『ターミネーター』

<2016年夏に公開される作品と公開日>
5月6日『キャプテン・アメリカ3』『スーパーマンVSバットマン』
5月27日『アリス・イン・ワンダーランド2』『X-MEN:アポカリプス』
7月1日『アングリー・バード』『インディペンデンス・デイ2』『ターザン』

通常は2015年のように大作が1作しかない。各社が大作と公開日がカブらならないようにずらすからだ。2015年5月22日は、当初『スター・ウォーズ エピソード7』が予定されていたが、公開時期が12月にずれたため、急きょ『スター・ウォーズ』を配給するディズニーが『トゥモローランド』を5月22日に設定した。

逆に、2016年は複数の大作がある。これは各社が「自社作品の方が強い」と自信を持ち、公開日が重なっても、ずらさずにぶつけているのだ。

ちなみに、夏映画興行の期間は5月初旬から9月初旬の4ヵ月間。暦の上では1年間の3分の1だが、年間興行収入全体の4割以上を占めている。(文:相良智弘/フリーライター)

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