『ドラえもん』『クレヨンしんちゃん』『名探偵コナン』『仮面ライダー』シリーズなど、日本映画には子ども向け映画の長寿シリーズが数多く存在する。そんな作品の人気の秘密や現状を探るシリーズ企画・後編。
・子ども向け映画シリーズの長寿の秘密(1)/テレビ版とは異なる感動・冒険がポイント
子ども向け映画としてスタートしたものの、もはや中心客層が大人になっているのが『名探偵コナン』だ。今年4月公開の『異次元の狙撃手』の客層は男女比36対64、20代が31.2%、16〜19歳が22.8%、40〜59歳が16.2%、13〜15歳が11.4%、6〜12歳が9.6%。10代後半から20代の女性が中心客層といえる(配給元の東宝発表)。
97年の1作目は興収11億円だったものの、2作目で21億円とグンと伸ばし、以降人気が安定して興収20億〜30億円以上を記録している。『コナン』は子ども向け作品に見えるが、実は本格的なミステリー作品。1作目の時は子どもに連れられて見に行った親から口コミで評判が広がり、2作目以降に観客が増えたと思われる。
ストーリーは複数の事件で構成。1つひとつの事件に伏線があり、最後に解決して一件落着──と見せかけて、別の犯人がいたり、もう1度事件が起きることもある。原作者の青山剛昌は『コナン』を“ラブコメ”と表現している。主人公・新一と幼なじみの蘭とのつかず離れずの恋愛模様が女性に受けているようだ。
『コナン』は昨年の『絶海の探偵』でシリーズ最高の興収36.3億円を記録し、正月に公開された番外編『ルパン三世VS名探偵コナン』は42.5億円を記録大ヒット。『異次元の狙撃手』も40.9億円で昨年のシリーズ最高を上回る新記録樹立となった。
アニメプロダクションはトムス・エンタテインメントで『コナン』の映画やテレビシリーズの他、『アンパンマン』『弱虫ペダル』、不定期ではあるがスペシャル版で『ルパン三世』を製作している。
アニメ映画は毎年1本ずつの公開だが(昨年末の『ルパン三世VS名探偵コナン』、公開中の『STAND BY ME ドラえもん』は例外的な存在)、近年は毎年3本ずつ公開されているのが『仮面ライダー』だ。正月映画(前年12月公開)として放送中のライダー(9月から新シリーズがスタート)と前年のライダーを共演させた作品、4月に放送中のライダーと昭和の旧ライダー、スーパー戦隊を共演させた作品、そして7〜8月に放送中のライダーを主役にした作品を公開している。今年でいえば正月映画が『仮面ライダー×仮面ライダー 鎧武&ウィザード 天下分け目の戦国MOVIE大合戦』(興収10億円)、(今年は4月ではなく)3月が『平成ライダー対昭和ライダー 仮面ライダー大戦 feat.スーパー戦隊』(10億円)、そして7月19日から公開されたのが『劇場版 仮面ライダー鎧武 サッカー大決戦!黄金の果実争奪杯!烈車戦隊トッキュウジャー THE MOVIE ギャラクシーラインSOS』だ(『烈車戦隊トッキュウジャー』と同時上映。8月17日時点の興収8億円)。
仮面ライダーは毎年新シリーズが始まるため、視聴者や映画の観客が交代してしまい、数字が安定しない。そこで、旧ライダーを投入することでオールドファンを取り込む(4月作品)。また放送中のライダーと前年のライダーを共演させることで、両方の橋渡しを狙っている(正月作品)。
ただし近年では興収が落ちており、ライダーパワーがやや弱まっている。3作を合計した興収を見ると、11年44.7億円→12年43.4億円→13年33.6億円。14年は『鎧武』が公開中だが、3作で興収30億円には届きそうにない。仮面ライダーの視聴率が若干落ちていることもあり、映画企画部門の担当役員をテレビ事業部門に異動。担当者が仮面ライダーなどキャラクターもののスペシャリストであることから、再強化を狙っている。(文:相良智弘/フリーライター)
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