樹木希林が元ハンセン病患者を演じた人間ドラマ『あん』の製作発表記者会見が12月11日に都内で行われ、樹木と河瀬直美監督が自作について語った。
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どら焼き屋を舞台にした本作。劇中で使った割烹着姿で登場した樹木は、会場に入りきれないほど集まった100人以上の取材陣を見て「取材陣の数は)トム・クルーズさん以来ってことなんで、本当かなって思っています」と話し、笑いを誘った。
河瀬監督の前作『朱花(はねづ)の月』にも出演した樹木は、「台本が分厚くてセリフがびっしりと書かれている。セリフが長いと(共演者に)勝手に差し上げちゃうんですけど、この監督はそういうわけにはいかない」と、監督の厳しさに言及した。
また、小豆を手作りする様子を見に行くほど徹底したリサーチをした河瀬監督から「小豆の声が聞こえますか?」と聞かれていた樹木は、「聞こえません」とキッパリ。そんな監督の作品に出演するのは「しんどかった」とこぼすも、「でも、そこにこだわる河瀬さんの凄さが分かりました。役者なら、一度は河瀬さんとのお仕事をおやりになるといいんじゃないかと思いました」と続け、真摯な姿勢を称えた。
一方、河瀬監督も「長年、一緒に仕事してきたカメラマンが本番で初めて涙した。それくらい迫るものがあった」と、樹木の演技を絶賛していた。
また、作品のキャッチコピー「やり残したことはありませんか?」にからめ、「やり残したこと」について聞かれた樹木は「やり残したことは何もないんです。期待がないから。ただ、この仕事をした後に、もうちょっと心してやらなきゃいけなかったんじゃないかなぁと思いました」と語り、河瀬監督からは「これを樹木さんの遺作として売りたいんじゃないんですか?」と言われていたことも明かした。
最後の挨拶で河瀬監督は「樹木さんの遺作になるか分かりませんが」とジョークを交えつつ、「撮影現場でやり残したことはない。ぜひ(完成を)見守っていて下さい」と語った。
本作は、とある街にひっそりとたたずむどら焼き屋「どら春」を舞台に、しがない雇われ店長と家族の愛に飢えた少女、そして元ハンセン病患者の主人公とが織りなすドラマを描いた作品。河瀬監督にとっては初めての原作もので、原作者であるドリアン助川自身が映画化を希望する手紙を河瀬に送ったことから製作が実現。撮影はすでに終了しており、今後はフランスとドイツで編集作業に入るという。
『あん』は来年6月に全国公開される。
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