【週末シネマリサーチ】(後編)単勝元返し級の大本命!『映画ドラえもん』初週60万人超えなるか

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『ソロモンの偽証 前篇・事件』
(C)2015「ソロモンの偽証」製作委員会
『ソロモンの偽証 前篇・事件』
(C)2015「ソロモンの偽証」製作委員会

(…前編より続く)

○【4位予想】『ソロモンの偽証 前篇・事件』
直木賞作家・宮部みゆきが「小説新潮」で9年間連載したミステリー大作を、映画『八日目の蝉』の成島出監督で映画化。クリスマスの朝、中学2年生の男子の転落死した遺体が校内で発見された。警察は自殺と断定したが、差出人不明の告発状が、学校やマスコミ届き、事態は一変する……。
佐々木蔵之介、夏川結衣、永作博美、黒木華、田畑智子、松重豊、小日向文世、尾野真千子など、実力派俳優が顔を揃えるが、主役は約1万人のオーディションから選ばれた生徒たち。昨年11月12日の完成披露会見を皮切りに、数多くの試写会を実施。精力的にプロモーション活動を繰り広げてきた。中でも、主題歌がU2の「ウィズ・オア・ウィズアウト・ユー」に決定するというニュースは、意外性もあり大きな話題になった。
成島出監督作品は、吉永小百合主演の『ふしぎな岬の物語』(14年・東映)が全国286スクリーンで動員約15万人、興収1億7,000万で1位を獲得。『草原の椅子』(13年・東映)が全国207スクリーンで動員3万9,000人を記録し7位、『聯合艦隊司令長官 山本五十六 太平洋戦争70年目の真実』(11年・東映)が全国308スクリーンで、動員12万人、興収1億5,000万で2位、アカデミー賞最優秀作品賞受賞の『八日目の蝉』(11年・松竹)が全国224スクリーンで動員14万人、興収1億5,000万で5位という結果。原作の知名度は大きなプラスも、生徒役の若手俳優は未知数。本作も上映館は300館を超えており、ベスト10入りは確実も、どこまで動員を伸ばすかはやや読みづらい。同じ直木賞作家原作を映画化、同一配給の『八日目の蝉』を参考に動員15〜16万人ぐらいと予想したい。

【週末シネマリサーチ】(前編)単勝元返し級の大本命!『映画ドラえもん』初週60万人超えなるか

▲【9位予想】『劇場版プリパラ み〜んなあつまれ!プリズム☆ツアーズ』
人気トレーディングアーケードゲームを原作したアニメ『プリパラ』の劇場公開版。アイドルを目指して歌やダンスを懸命にレッスンする女の子たちと共に『プリパラ』の世界を堪能できる。ストーリーが4パターン用意されており、週替わりで変化するという。
上映館数は約40館だが、前売り券がアミューズメントゲーム「プリパラ」で使える「プリチケ」になっていたりと、女の子たちを魅了する仕掛けも万全。同様のトレーディングアーケードゲームの劇場公開版『劇場版 アイカツ!』(14年)が動員約15万人、興収1億7000万を記録。こちらは東映配給で全国150スクリーンだったことを考えると、そこまでの数字は見込めないだろうが、トップ10入りするだけのポテンシャルは十分。

【注目シネマ】
×『妻への家路』
中国の巨匠チャン・イーモウ監督が、映画『王妃の紋章』以来8年ぶりにコン・リーとタッグを組んだ文芸作品。文化大革命の終りと共に収容所から解放された夫と、記憶障害に陥り夫を認識できない妻が織りなす切ない夫婦の物語だ。
上映館数は10館程度。中国の文化大革命という歴史的背景がやや敷居を高くしている感があるが、物語はシンプルな夫婦愛を描いている。チャン・イーモウ監督も本作プロモーションのために来日し、作品の魅力をアピールした。記念すべき20作目で「原点回帰」をテーマにした本作。どこまで日本で受け入れられるのか注目したい。

×『劇場版 シドニアの騎士』
2014年4月〜6月にテレビアニメで放映された『シドニアの騎士』全12話を再編集した劇場公開版。テレビ版では未公開のシーンも追加されており、ファンにはたまらない作品だ。
上映館数は30館弱だが、2月23日に行われた完成披露上映会には、応援隊長に任命されたアニマル浜口が“アニメ浜口”に扮して盛り上げるなど話題を呼んだ。『名探偵コナン』シリーズの静野孔文監督作品。館数が少なくても侮れないのが、アニメ作品の爆発力だ。

(文:磯部正和/映画ライター)

磯部正和(いそべ・まさかず)
雑誌の編集、スポーツ紙を経て映画ライターに。基本的に洋画が好きだが、仕事の関係で、近年は邦画を中心に鑑賞。本当は音楽が一番好き。不世出のギタリスト、ランディ・ローズとの出会いがこの仕事に就いたきっかけ。

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