家庭版と劇場版、話題の「4K」には2種類あるって知ってました？（後編）

#超簡単！いまさら人に聞けない映像用語辞典 2015.03.14

（…前編より続く）4K放送に関しては、昨年後半から4K試験放送「Channel 4K」（スカパー！プレミアムサービス）を楽しむことができたが、いよいよ3月1日、世界初となる4K専門チャンネル「スカパー！4K」が開局した。「スカパー！4K」は、「スカパー！4K 総合」（チャンネル596）と、映画ファン待望となる「スカパー！4K 映画」（ch.595）で編成される。「スカパー！4K 総合」は、これまでのスカパー！プレミアムサービスの加入があれば無料で視聴可能。「スカパー！4K 映画」については作品ごとに課金するPPV（ペイ･パー･ビュー／録画不可）で提供され、現在は1作品540円と設定されている。

・【超簡単！いまさら人に聞けない映像用語辞典 7】家庭版と劇場版、話題の「4K」には2種類あるって知ってました？（前編）

「スカパー！4K 映画」で現在放送されている作品は、日本映画では角川「4K Scanning Blu-Ray」シリーズが発売されている松田優作主演『蘇える金狼』『野獣死すべし』｣、原田知世主演『時をかける少女』。洋画ではBBCアース製作のネイチャー・ドキュメンタリー『ネイチャー』。そしてスティーヴン・ソダーバーグ監督、マイケル・ダグラス、マット・デイモン出演の『恋するリベラーチェ』（チャンネル等契約者無料）。

洋画の大作・話題作、たとえばハリウッド作品などは当面ラインナップされない。調達交渉に時間がかかっている理由のひとつは、やはり著作権保護の問題。これをクリアして、可能な限り早い時期に放送できるように調整中ということだ。

それにしても4K作品の放送品位は目覚ましい。とりわけHBO製作のTVムービー『恋するリベラーチェ』にびっくり。日本では劇場公開された作品だが、5K解像度撮影、4Kデジタルマスターを有する本作は、ブルーレイや映画上映の映像品質などまったく太刀打ちできない凄味を持っている。是非とも機会があれば、発売中のブルーレイと比較されたい。素晴らしい目の保養となるはずだ。

「スカパー！4K」は光回線経由での視聴も4月4日から可能となるが、NTT東西が提供するフレッツ光回線を利用する、4K ビデオ・オン・デマンド（VOD）配信サービス「ひかりTV 4K」にも注目したい。現在は前述の「Mastered in 4K」ブルーレイ作品を配信中。残念ながら吹替え版のみのラインナップとなるが、やはりブルーレイ版とは一線を画す高精細映像が披露される。

ちなみに期待の4Kブルーレイ（正式名称ウルトラHDブルーレイ）は、2015年中にテイクオフ、初年度におよそ200タイトルが登場する予定である。映像とサウンド・パフォーマンス、そのすべてが大幅に向上しての登場となろう。この話はいま少し情報を得てから紹介することにしたい。

では次回。前述した「4K Scanning Blu-Ray」にも謳われている、デジタル修復には欠かせない4Kスキャン（4K解像度でのスキャニング）についてお話ししよう。（文：堀切日出晴／オーディオ・ビジュアル評論家、オーディオ・ビジュアル・ライター）

次回のテーマ「4K（第2回）」は4月3日に掲載予定です。

堀切日出晴（ほりきり・ひではる）
これまでに購入した映画ディスクの総額は軽く億を超えることから、通称は「映画番長」。映画助監督という作り手としての経歴を持ち、映画作品の本質を見抜くには、AV機器を使いこなすこと、ソフトのクォリティにも目配りすることを説く。

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