村上春樹の人気小説を、『青いパパイヤの香り』のトラン・アン・ユン監督、松山ケンイチ主演で映画化した『ノルウェイの森』。この作品が、9月2日(現地時間)に第67回ヴェネチア国際映画祭で公式上映された。上映後には大きな拍手が沸き起こり、松山とユン監督が堅い握手を交わす姿も見られた。
映画祭には松山とユン監督のほか、菊地凛子、水原希子、プロデューサーの小川真司が参加。上映に先立ち、2日の午前中はインタビューや公式記者会見が行われ、松山は「『ノルウェイの森』は日本を代表する小説。映画化が難しいと言われていて、世界中の人々が待ちわびていた作品に出演できたことが嬉しく、また気持ちが引き締まります」と出演の喜びを語った。
ヨーロッパは初めてという松山だが、「ヴェネチアでは、日本そして海外の多くの取材を受けているのですが、この作品が認められているのを感じています」と手応えを感じている様子。「この国際映画祭には、日本を代表する気持ちで臨んでいます。今回は観光のことは考えず、ぜひ賞を取りたい」と受賞への意欲もにじませた。
『シクロ』で同映画祭グランプリの金獅子賞を受賞しているユン監督も「過去は過去。今回ももちろん賞をとりたい」と野心をのぞかせ、「男優賞、女優賞など演技に関する賞が取れたら、とても嬉しいです」と話していた。
また、主人公と恋人・直子が結ばれるシーンについて聞かれた松山は、「監督から最初からは説明されていませんでした。原作に忠実であるなら相当な覚悟が必要だなと思っていましたが、表情を主に描くということで違う芝居の仕方を要求されましたし、すごく時間をかけて撮影させてもらいました」と振り返った。
一方、直子を演じた菊地は、「今まで国際映画祭に参加した作品はすべて外国作品だったので、日本の原作で日本製作の映画での参加は今回が初めてとなりました。そういう意味でも、自分にとって大事な作品で、大変感慨深い」と、記念すべき作品であると吐露。松山との共演については、「松山さんは真摯に役に向き合う方なので、楽屋で次のシーンを話し合うこともあったし、現場でカメラの向きによってどう見えるかとかテクニカルなことや内面的なことも相談させてもらって、協力してこの映画ができたと思っています」と語った。
公式上映は同日午後9時半過ぎから行われ、上映後、松山は「お客さんに拍手していただけて、大成功と感じました。これから海外でも配給されることを思い、たくさんの方に見ていただけるだろうことを確信できました」とさらなる手応えを実感した模様。「最高の1日になりました」と喜びをかみしめた。また、映画に見入って自らのシーンで泣いてしまいそうになったという水原は、「正直、映画が終わってみなさんが拍手してくれてホッとしたというか、言葉が何も出てこないというか、感動してボーッとしてしまいました。すごく幸せでした」と夢見心地だった。
第67回ヴェネチア国際映画祭は9月1日にスタート、11日まで開催される。また『ノルウェイの森』は日本では12月11日より全国公開予定。
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